いまを積み重ねて
本作では花澤の歌唱のさらなる進化も聴きどころだろう。なかでも沖井礼二が手掛けた“カレイドスコープ”で聴くことができるしなやかで力強いヴォーカルは新境地と言っていいのではないか。
「これは想像してなかった歌い方になりましたね。最初は普通に歌っていたんですけど、〈もっと上から目線で! もっと踏みつけて!〉みたいに言われて! もちろん冗談なんですけどね(笑)。〈Ahh!〉のところはエロく聴こえたらいいなと思いながら歌ってます(笑)」。
さらに、既発のシングル“ざらざら”以外で花澤が作詞した“brilliant”にも触れておきたい。女性同士の友情を描いたチャーミングな楽曲だ。
「演奏がゴキゲンすぎたので、“ざらざら”みたいな重い歌詞は書けないなと(笑)。1年に1回くらい会える幼馴染がいるんですけど、久々に会ってご飯を食べて話しているときに〈この子のことを書くならいけそうだ〉と思って。ただ、その子に限定しているわけじゃなくて、身近にいるいろいろな人に向けたら曲に合うかなと思って書きました」。
そうして完成した『Opportunity』。最後に今作について、そしてこれからの歌手活動について総括してもらおう。
「UKロック自体がいろんなジャンルを含んでいるものなので、『Opportunity』の一曲一曲が個性的なものになっているんですけど、『Opportunity』というタイトルにもあるように、“星空☆ディスティネーション”(2012年のソロ・デビュー曲)から積み重ねてきたいろんな機会があったからこそ歌えた曲がたくさんあるんだなって思います。そういう活動をこれからもやり続けていくために、いまを積み重ねていっている部分もあるのかなって。私ひとりでやっているわけではなくて、いろんな人が協力してくれているんだなと感じる日々なんですけど、次々とやりたいことが出てきているんです。このペースでできるのはいましかないと思うので、この音楽性と雰囲気を守りながら、このまま進んでいきたいと思います」。
『Opportunity』に参加したアーティストの作品。