INTERVIEW

花澤香菜、作詞家としても進化! 秦基博によるメロディーが仄暗い作家性を一層引き出した新シングル“ざらざら”を語る

花澤香菜、作詞家としても進化! 秦基博によるメロディーが仄暗い作家性を一層引き出した新シングル“ざらざら”を語る

出会いから3年を経過して実現した秦基博とのコラボ。〈言葉の奥に潜む何か〉を感じさせる彼の作風によって詩的な作家性が引き出されたニュー・シングル!

 花澤香菜のニュー・シングル“ざらざら”の作曲を秦基博が手掛けると聞いてピンときた人もいるかもしれない。「君の名は。」で今年の邦画界を湧かせた新海誠の2013年監督作品「言の葉の庭」で花澤はヒロインの雪野百香里役を務め、秦はイメージ・ソング&エンディング・テーマを担当していたからだ。10月に開催された花澤の単独ライヴ〈HAPPY HANAZAWEEEEN〉でいち早く披露されて反響を呼んだ“ざらざら”は、アコースティック楽器の朗らかな響きと彼女自身による蒼然たる歌詞、たおやかな歌声のマッチングが実に味わい深いミディアム・ナンバーになった。

 「『言の葉の庭』でご一緒させていただく以前から秦さんの音楽は知っていたんですけど、あの“Rain”を聴いちゃってからはもう、秦さんの声を聴きたくなる瞬間というのがあって。個人的にアルバムもよく聴いていたので、今回作曲していただくことが決まったときは嬉しかったです。秦さんは、言葉の奥に何かが潜んでいるんじゃないかなっていう切なげな歌い方をされていると思うんですけど、私もそういうニュアンスを入れられたら、と思ってレコーディングしました。その雰囲気が伝わっていたらいいなと思います」。

花澤香菜 ざらざら アニプレックス(2016)

 曲調は穏やかな一方で、心がざわつく感情の“ざらざら”を表現するにあたり、〈毒のように〉〈重く深く 沈む時間〉といった苦味のある言葉が並ぶ。ある意味で花澤特有の作家性が出たとも言える、仄暗い仕上がりに。

 「こうなっちゃいました(笑)。秦さんが歌う〈ラララ〉が入ってる状態のデモをいただいて……あれがいちばん素敵だと思います(笑)! その〈ラララ〉から伝わってくるものがたくさんあって、インスピレーションを得ました。優しい曲調じゃないですか。温かさに包み込まれている。だけど、切ないんですよ。〈結局自分はひとり〉という孤独感も感じるんですよね。それを意識して書いてたら、もう、どんどんそっちの方向に。前を向こうとはしているんですけどね(笑)。ただ、前提として『言の葉の庭』の繋がりが頭にあったので、雪野先生の心情……部屋でうずくまる映像とかが出てきていて、そことも結び付きました。暗い言葉も多いから、〈ここを直してみたらどうか〉っていうアドヴァイスもいただいたんですけど、ひとつ変えると全部崩れちゃったり、不自然になってしまって、最終的にここに戻ってきたんです。これはこれとして、歪に完成したものなんだって結論に達しました」。

 ストーリーテリングや心情描写も如実に進化しており、〈ねぇ 「あなたが泣く夢を見た」なんて 可笑しくって 哀しくもなった〉という歌い出しからして非常に詩的。前回のシングル“あたらしいうた”で全3曲の作詞を手掛けたことも大きな糧となっているようだ。

 「思ったことをどう言葉にするか、っていう作業を前回のシングルで没頭してできたのは、絶対に繋がっていると思います。(“ざらざら”の歌い出しについては)〈歌詞どうしよう?〉って悩んでベッドの上でウダウダしていたときに、母から〈香菜が泣いてる夢を見たんだけど大丈夫?〉ってメールがきたんです。〈おお、これは素敵だ〉と思って、〈大丈夫!〉って返事してからそのまま書きはじめました(笑)」。

 さらに、カップリングについても訊いておこう。“クラッシュシンバル”は末光篤による軽やかなピアノ・ロック。“IN LOVE AND IN TROUBLE”はナカムラヒロシi-dep)作曲のキュートでクールなダンス・ナンバーで、作詞はどちらも花澤作品でお馴染みの岩里祐穂が担当した。

 「岩里さんの歌詞は安心して歌いやすいです。私と違ってキラキラしてるし(笑)。ハッとする表現が絶対にあって、歌っているときに支えになってくれたりとか、導かれたりするんですよね。いつも〈大丈夫だよ〉って背中を押されてる感覚になります。“クラッシュシンバル”は、とっても技術がいる曲で(笑)。音の上がり下がりが激しかったりするし、息継ぎが難しいし、ノリに対して上滑りしないように落ち着くまで、すごく時間がかかって。〈もっと上手くなりたいよー!〉って思いながら歌いました。レコーディングが終わってホッとした後に、〈ライヴでどうするの?〉ってなりましたね(笑)。“IN LOVE AND IN TROUBLE”は、ナカムラさんも〈こういうタイプの曲はなかったな〉って言ってくださって、新しい感じがします。サビ前にちょっとラップみたいなパートがあって、そのニュアンスで苦労したんですが、気に入ってますね。どの曲も、もっといろんな筋肉を付けて、ライヴで楽しみながら歌えたらいいなって思います」。

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