ティエストによる“Winterbreak”のリミックスでも脚光を浴びたLA発の女性3人組がアルバム・デビュー。リード・シンガーのケイティ・ギャヴィンを筆頭に、ツッパリ系のいかついお姐さんといったイメージもあるけれど、曲調はメロウでドリーミー。レディ・ガガが『Art Pop』で展開したジョルジオ・モロダー路線の80s風ディスコ・ポップを基調にしつつ、ギター・ロックやシンセ・バラードへと羽を広げる。大仰でドラマティックなサウンドなのに、みずから〈ダーク・ポップ〉と称する通りどこか繊細で屈折した影も見え隠れするのは、性的マイノリティーという立場の苦悩やメッセージが託されているせいかもしれない。本来ならもっとエキセントリックにギターを掻き鳴らしていても良さそうな3人娘が、意外な方向から攻め入って個性を発揮。LGBTコミュニュティーの結束力や反骨精神も感じ取れる楽曲は、さしずめ〈ハイムの裏ヴァージョン〉とでも呼びたい乙女スピリットに彩られている。