寡作なバンドながら、多方面から熱いリスペクトを集めてきた10年の軌跡を凝縮したトリビュート盤が登場!!

VARIOUS ARTISTS WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ? ビクター(2017)

 結成から12年目にして、これまでに残したフル・アルバムは2015年発表の『Renaissance』のみ。しかし、いまや世代を超えた数多くのアーティストからのリスペクトを受ける奇跡のバンド、ペトロールズ。CDデビュー10周年を記念するトリビュート盤『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?』には、そんな彼らの足跡が凝縮されている。まず目に付くのが、〈今〉を体現する若手バンドが多数参加しているということ。エレピをフィーチャーしてムーディーに聴かせるSuchmosの“雨”、原曲のメロディーの良さを活かしつつ、サイケデリックなセクションを加えたYogee New Wavesの“On Your Side”、ギターの絡みが彼ららしいnever young beachの“Side by Side”など、この世代への影響力は絶大だ。

 一方、同世代のSOIL &“PIMP”SESSIONSは“ホロウェイ”を9分に及ぶプログレに変え、大先輩のORIGINAL LOVEは同じ3ピースで後輩には負けじと見事なアンサンブルを披露。さらに、メンバーの長岡亮介と交流の深いRei、LOVE PSYCHEDELICOのNAOKI、THE BAWDIESのROYが〈R'N'R〉として“表現”をカヴァーし、Reiのキュートな歌とROYのシャウトの掛け合いがご機嫌な仕上がりに。日本のポップ・シーンにおける意義と作品の質、どちらから見ても屈指の一枚だと言えるだろう。