©MINORU KABURAGI (SIGNO)

シンガーソングライター/ギタリストのReiが、約1年ぶりのミニアルバムとなる『XINGS』(読み:クロッシングス)をリリースした。前作のミニアルバム『VOICE』は歌がテーマになっていたが、今作は彼女の代名詞でもあるギターにフォーカス。〈十字路〉〈交差点〉を意味する『XINGS』のタイトルどおり、MONJOEとの初コラボレーションをはじめ、親交の深いコリー・ウォンをギターに迎えた楽曲、さらにはBOBOや吉田一郎のレコーディング参加など、さまざまなミュージシャンとの化学反応も注目ポイントとなっている。

Reiが弾くギターソロも7曲すべてに収録。そんな意欲的なミニアルバムの制作背景、新曲の聴きどころについて、本人にたっぷりと話を聞いた。

Rei 『XINGS』 Reiny/ユニバーサル(2024)

 

満を持して辿り着いた、〈ギター〉をテーマにした作品

――SNSでは〈この半年間のことをほぼ覚えていない〉〈自己最高記録を更新だ〉と、充実を感じさせる投稿をされていましたね。

「はい(笑)。夢中になって生きていました。制作ももちろんですけど、複数の大型フェスに出演させていただいたりとか、いろんなことが同時進行でワーッと巻き起こっていて。振り返ってみると、充実していたなと思います」

――前作のミニアルバム『VOICE』リリース以降から、今作『XINGS』に至るまでは、どんなふうにビジョンが定まっていったんですか?

「歌とギターのそれぞれをテーマにした対になる作品を、以前から作りたいと思っていました。私は『BLU』というミニアルバムで2015年にデビューしたんですけど、その時点ですでに構想がありました」

――おお、そんなに早くから!

「デビュー後に計画の微調整をしつつも、このコンセプトでいつかリリースしたいというのは変わらず目標にあったんです。だから『VOICE』を作り始めるとき、次の作品のテーマはいよいよギターだなと。2作を通じて、ミュージシャンとしての振れ幅の大きさを伝えられるようにしたかったですね」

――温めてきた構想がこのタイミングで実現に至ったのも、何か理由があるのかなと感じます。

「音楽を始めた頃からギターが大切な存在で、オーディエンスにもギタープレイを求められてきました。それは本当に喜ばしいことで、とても感謝しています。たくさんの優れたギタリストがいるなか、ギターがカッコいいと認めていただけるわけですから。

ただ、イロモノと言ったら語弊がありますが、〈ギタ女〉みたいな平面的な形容で済まされるようなアーティストではないぞ、という感情も持っていました。ソングライティング、生き様、歌声。いろんな切り口で自分の人となりを丁寧に伝えていき、その上でギターアルバムに辿り着きたかったんです」

――周囲からのレッテル貼りもあって、そういった時間をかけた手順が必要だったと。

「プロデビュー前の9歳からライブ活動を始めたので、〈若い〉〈小っちゃい女の子〉〈ギターが弾ける〉〈ブルーズが好き〉みたいな肩書きで常に埋め尽くされていた、さまざまなポストイットを貼られていた感じでした。本質的に自分を見てもらえない。その歯痒さを、長いこと心に抱えてきて」

――以前“Categorizing Me”で、まさに悩ましい気持ちを歌っていましたもんね。

「そうですね。聴いてくださってありがとうございます」