(左から)湯川れい子、亀田誠治、森川欣信、浦沢直樹、倉本美津留
 

ポール・マッカートニーによる最新ツアー〈ワン・オン・ワン〉と、4月25日(火)の東京・日本武道館公演に向けてInterFM897で放送された、〈緊急特番! ポール・マッカートニー日本武道館公演決定スペシャル!〉再構成ロング・インタヴュー。この後編では、浦沢直樹、亀田誠治、森川欣信、湯川れい子の4人とMCの倉本美津留で、過去の来日公演を振り返りつつ、ポールの武道館カムバックについて熱いトークを展開。〈なぜライヴ中に水を口にしないのか〉など、気になるエピソードの裏側も明かさ明かされた。

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武道館のために、思いもかけないような曲をやってくれる?

森川欣信「それで、(小学校6年生のときに)僕が『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』を観たとき、なんで1人だけ反対側にギターを持っているんだ?って不思議に思ったわけですよ。つまりポール・マッカートニーがね。〈そうか、この人は左利きなんだ〉って、そのときにわかった」

倉本美津留「そんな左利きのポール、ベースを弾きながら歌うという。彼より先にこんな人はいなかったと思うんですけど、そんなポールの影響を受けて、亀田青年は音楽の道に進んだわけでしょう?」

亀田誠治「はい。僕はいつも言うんですよ。ポールに音楽を教わって、ジョンに人生を教わったって。これは大人になってから気が付いたんですけど、子どもの頃、夢中になって聴いていたのはポールの曲だったんですよね」

倉本「僕もそうです」

亀田「ザ・ビートルズのなかで、なんとなくポールの曲に手が伸びるんです。ジョージの曲にも手が伸びるんですけど、どこかでこう、メロディー・ラインであったり、コード展開の美しさであったりを求めているんですよね。あとポールの曲って、すごく明快なんですよ。さっきの話じゃないですけど、イントロなしで始まるのがポールの曲にはすごく多くて」

※前編で話題に出た“I Want To Hold Your Hand”のこと

倉本「確かにそうですね。“Hey Jude”もそうだし」

森川「“All My Loving”もね」

亀田「それで、ベース・ギターってうちにはなかったんですけど、クラシック・ギターは置いてあったんです。通信教育の雑誌の裏によくあるじゃないですか、ペン習字みたいな。その隣に〈あなたでも弾けるクラシック・ギター講座〉みたいなのがあって、それを見た母がギターを取り寄せたんですよ。だから、タータンチェックの布に包まれたギターが、ずっとリビングという名の床の間に置かれていて。僕はそのころ、小学4年生か5年生だったと思います。ザ・ビートルズの〈青盤〉を買ったら、たまたま大好きな“Hello, Goodbye”が入っていて。あの曲をかけて、何となくそこにあったギターを手に取ってみたら、〈ドー、ソー、ミー、ソー……〉ってベース・ラインを自然に弾きだしたんです」

倉本「曲を聴いているうちに、勝手にベース・ラインが出てきちゃったんですね」

亀田「はい。だから今の僕は、ベーシストとしても音楽家としても、ポールがいないと始まらないんですよ。それで今話しながら気が付いたんですけど、最近のポールは(ライヴで)ジョンの曲もやるし、ジョージの曲もやるじゃないですか。“Here Comes The Sun”とか。やっぱりあの時代の4人でやっていたザ・ビートルズのエネルギーとか空気を、ヘフナーのベースで感じながら弾いてるんじゃないですかね」

湯川れい子「そういう意味では、今度の〈ワン・オン・ワン ツアー〉でも、ザ・ビートルズの思いもかけないような曲をやってくれるかもしれないですよね。(今回のライヴは)いきなり“A Hard Day’s Night”から始まるわけですけど、やっぱり今回の公演で楽しみなのは、ポールが武道館のために思いもかけないような曲をやってくれるんじゃないかということで」

倉本「やってほしいですねえ」

森川「2年前の武道館でもね、みんなで何をやるんだろうっていうのを忖度したわけですよ(笑)。もしかしたら“Rock 'n' Roll Music”をやるんじゃないかとかね。あれはポールのリード・ヴォーカルじゃない曲だけど。でも、蓋を開けてみたら(世界初披露のサプライズは)“Another Girl”だけでしたよね。やってない曲を聴きたくない?」

浦沢直樹「前回の来日公演は寺岡呼人くんと一緒に観に行ったんですけど、終わったあとに〈あの曲聴きたかったね、この曲聴きたかったね〉と話していくうちに、代表曲がどんどん出てくるわけですよ。そうやって挙げていったら、(セットリストが)1ステージ分できちゃいましたからね(笑)」

湯川「不思議でしょうがないのは、お客さんを入れてサウンドチェックをやるじゃないですか。サウンドチェックでは全然違う曲をやってるんですよ。〈なんでこれやらないの?〉って。前回の日本公演でも“Temporary Secretary”をサウンドチェックでやっていたのに、(本番では)やらなかったんですよ」

森川「福岡のリハーサルでは“Your Mother Should Know”もやってるんですよ。“Your Mother Should Know”はアメリカでは披露しているけど、日本ではやらなかった。やっぱり、やってないのを聴きたいよね」

湯川「でも、この間の武道館の時も、リハーサルはすごく真剣にやってるんですよね。しかも、リハーサル中のポールはずっと水を飲んでるの」

倉本「飲んでるんですか?」

湯川「そう。ペットボトルに入っているちょっと色の付いた、明らかにそのために作られた飲み物を飲んでるの。そのあと、日本でポールが喉を悪くしたときにお医者さんの診察を受けたんだけど、無事に帰られたあと、そのお医者さんに訊いたの。どうしてポールは水を飲まないんですか?って。そうしたら、〈本当はあの年齢なので、脳梗塞や心筋梗塞の心配があるから、水を飲んでください〉と言ったそうなんだけど、ポールは〈僕は飲まない。どうしたって声が変わるから〉って。それこそ、昔とまったく同じキーで歌ってるわけじゃないですか。そういう声をキープしたいんだと。やっぱりそこまで大事にしてるんだなと思っちゃいましたよ」

浦沢「普通は逆ですよね、声を出すために飲みますよね」

〈ワン・オン・ワン〉ツアーLA公演でのリハーサルの模様