GOLDIE
どんな勲章よりも煌めくドラムンベースを響かせて、ミュージカル・ジャーニーは続く……
昨年、音楽/アートでの功績を称えられ大英帝国勲章(MBE)を受賞したクリフォード・ジョセフ・プライスが、19年ぶりとなるゴールディー名義でのアルバムを発表! 前作から月日が経っているので彼の経歴をおさらいしておくと……80年代にグラフィティー界で活躍した彼は(マッシヴ・アタックの3Dとのアート・バトルも有名)、90年代に入るとラフィッジ・クルー名義で自作曲のリリースを開始。94年にレーベルのメタルヘッズを立ち上げ、レイヴ・サウンドを発展させたドラムンベースをクルーの面々と放ってきた。95年にその究極形となる『Timeless』でアルバム・デビューし、98年には60分の大作も話題を呼んだ『Saturnz Return』を発表。またロンドンのブルー・ノートで行っていたパーティー〈Metalheadz Sunday Sessions〉もいまや伝説化している。その後も活躍は続いてきたものの、今回すでに話題が沸騰しているのは、ゴールディー名義の活動を振り返れば当然のことだろう。
GOLDIE 『The Journey Man』 Metalheadz/Cooking Vinyl/BIG NOTHING(2017)
新作『The Journey Man』は過去2作と同様の2枚組大作(限定盤はインストを加えた3枚組)で、スウィンドルとのスペース・ジャズ・ファンク“Horizons”、ファンキーなブロークン・ビーツ“Castaway”、ホセ・ジェイムズが朗々と歌う美しき“Truth”、ドラムンからディープ・ハウスへ移行する18分のミュージック・ジャーニー“Redemption”など多彩で、かつてのトーキング・ラウドやアシッド・ジャズ(・レコーズ)を想起させる柔軟さだ。同時に、鋭利なビート、ソウル~ジャズの芳醇なエッセンス、壮大な空間作り、高い芸術性など往時のゴールディーらしさも健在。ここにふたたびタイムレスな作品が誕生した。