DJ KHALED
招集力を見せつけた問答無用の10作目!
一部のカリスマを除けば栄枯盛衰の甚だしいヒップホップ・シーンにあって、テラー・スクワッドの一員として『Listennn... The Album』(2006年)でアルバム・デビューしてから10年以上も独自のポジションとステイタスを保ち続けているのが、マイアミを拠点とするDJ/プロデューサーのDJキャレドだ。2008年には自身のレーベル=ウィー・ザ・ベストを立ち上げる一方でデフ・ジャムのA&Rなども担い、シーンのキーマンとして暗躍。2011年にはキャッシュ・マネー入りしてさらに飛躍し、その凋落後はエピックと契約してロック・ネイションにも加わるなど、人脈をどんどん拡大しながら常に旬な顔ぶれと新しいアイデアをコンパイルした豪華なアルバムを作り、そこから膨大なヒット・チューンの山を積み上げてきたヒットメイカーである(AK-69とのコラボで知る人も多いだろう)。デビュー10年目となった昨年のエピック移籍作『Major Key』では初めて全米チャート首位をマーク。それに続く形でリリースされたのが、自身10枚目のアルバムとなる『Grateful』だ。
リリースに先駆けては、ビヨンセ&ジェイZ夫婦をサクッと招いた“Shining”でパワーを見せつけ、続くリード曲“I'm The One”にはジャスティン・ビーバー、クエヴォ(ミーゴス)、チャンス・ザ・ラッパー、リル・ウェインを招集。こちらは初登場で全米/全英の両チャートを制覇しているが、満を持して登場したアルバムも2作連続の全米No.1を記録。CD2枚組のヴォリュームとあって、過去最多の招待客で賑わう豪勢なパーティー・アルバムとなっている。
作中からはすでにリアーナ&ブライソン・ティラーの“Wild Thoughts”が大ヒット中。5曲に参加したトラヴィス・スコット、4曲で重用されているフューチャーを筆頭に、コダック・ブラックや21サヴェージ、ヤング・サグといった新進気鋭から、アリシア・キーズ、ビッグ・ショーン、2チェインズ、ニッキー・ミナージュ、シズラらエスタブリッシュされた大物たち、10作すべてに参加してきた帝王リック・ロス、さらにはマライア・キャリーやナズ、レイクォンや恩人ファット・ジョーといったヴェテラン、さらにはマイアミの大御所ベティ・ライトまで、世代もスタイルも幅広いラッパー/シンガーたちが駆けつけて豪華な共演を繰り広げている。カルヴィン・ハリスと共作した“Don't Quit”があれば、ミーゴスやチャンスの単独曲もあり、毎度のマヴァードの出番もある。今回もシーンの現状と未来を占いつつ無条件に楽しめる一枚なのだ。
『Grateful』に参加したアーティストの作品を一部紹介。
DJキャレドの作品。