天井棧敷創立50周年の2017年。寺山修司作品の再演が盛んな今だからこそ喜ばしい復刻である。天井棧敷最後の公演となった遺作『レミング』、圧倒的な音楽と世界観で影響を与えた傑作『身毒丸』、さらに奴婢訓、阿呆船、盲人書簡など全七編の戯曲を収録した戯曲集が待望の新装版化。舞台でこそ栄えるのが戯曲だが、文字・文章として読み込むとまた違った味わいがあるのも寺山演劇の愉しみ。思わず声に出したくもあり、そっと心に留めたくもある言葉の宝箱。これは言葉から視覚や哲学をも創生してくれる永久機関。時代を越えようともそれは僕等の中で今も動き続けるのだ。