COLUMN

マームとジプシー藤田貴大が新演出、舞台「書を捨てよ町へ出よう」に村上虹郎や又吉直樹ら各界のクリエイター結集

Art Direction:名久井直子 Photo:江森康之

 

現代の先頭を走る各界のクリエイターが結集!
寺山修司の世界感を藤田貴大の新演出で、注目の俳優、村上虹郎が初舞台を踏む!

 数の力が正しさや勝利と結び付くとは限らないが、才能を測るひとつの基準として、多くの人に影響を与えることと、異なる立場やジャンルの人を多く引き寄せることがある。

 寺山修司はその好例で、32年前に47歳という若さで亡くなったにも関わらず、発表した作品の数は膨大、活躍したジャンルは短歌、詩、エッセイ、作詞、演劇、映画と多岐に渡り、何かするたび、磁石が砂鉄を吸着するようにおびただしい数の人を引きつけ、相手が素人でも創作の仲間に引き入れると同時に、歌手・俳優・作家の美輪明宏、画家の横尾忠則宇野亞喜良、写真家の鋤田正義ら、今も第一線で活躍するクリエイターを強力なパートナーにして、郷愁と未知が交わる言葉をいつも形にしていた。そして、この時代にその例を探すなら、劇団マームとジプシー藤田貴大は間違いなくそこに入るだろう。今年30歳になったばかりの藤田は、1年で10本前後というハイペースで舞台をつくっているが、その都度、多くの観客の心を揺らし、同時に、異なるジャンルの気鋭のクリエイターを創作のパートナーにしている。漫画家の今日マチ子、小説家の川上未映子、歌人の穂村弘、ミュージシャンの原田郁子青葉市子、ブックデザイナーの名久井直子らがすでに藤田とのコラボレーションを果たし、お互いに刺激を与え合っている。

 

藤田貴大 (C)篠山紀信

 

 寺山と藤田にはもうひとつ共通点があって、それは、テレビやインターネットというマスとは異なるミニマムな場所で表現を発表しながら、圧倒的なスピードと伝播力を持っていることだ。藤田が生まれたのは寺山の死後だが、もしもふたりが出会っていたとしたら、きっと意気投合していたのではないかと思うのだ。

 そんな妄想が実際の形になるのが、12月に東京芸術劇場シアターイーストで上演される舞台『書を捨てよ町へ出よう』で、寺山の原作を藤田が初めて演出する。実は寺山は『書を捨てよ~』というタイトルで書籍と演劇と映画を発表していて、内容はそれぞれまったく異なる。書籍は、評論集と呼ばれてはいるが、若者に向けた生き方指南のような内容で、演劇は、若者達の詩にインスパイアされたかなり自由なスタイル、映画は、ひとりの青年の鬱屈した日々を中心に据えつつ、当時の世相を切り取る体裁をとった。今回の藤田演出は、映画版のストーリーをベースにしつつ、寺山作品の根底にある言葉の強さをよりどころに、今の言葉との結び付きまで射程に入れるらしい。具体的には、映像出演する穂村弘や又吉直樹(かねてからマームの舞台を観て関心を寄せていた又吉は、映像という形ではあるが、今作で初めて藤田とコラボレートする)らと藤田が映画の『書を捨てよ~』を観て、そこで聞いた感想、生まれた会話をテキストに加える。

 寺山修二の映画「書を捨てよ町へ出よう」冒頭シーン

 

 「映画版は、物語が続いていると思うと、突然、ドキュメンタリーみたいになって、関係のない人のインタヴューが入ってきたり、一瞬、わけがわからなくなるんですけど、そこがすごく味になっているし、結果的にかっこいいんですよね。それをそのままやるんじゃなくて、そうやって異物を混ぜ合わせた寺山さんのスピリットみたいなもの、新しくておもしろいものにアンテナを張っていた寺山さんのセンスみたいなものを、僕なりに形にしていきたいと思っています」と藤田。

 

村上虹郎 (C)Go Tanabe

 

 主演の村上虹郎は、昨年、河瀨直美監督の『2つ目の窓』でデビューし、順調に映画出演を重ねている注目の若手俳優。憂いのある少年性に藤田が着目し、初舞台ながら主演を任せることになった。凄腕のドラマー・山本達久も出演し、藤田曰く「寺山さんの言葉の句読点になってもらう」。また今回は衣装をミナ ペルホネンが担当し、ビジュアル面でもいつも以上のこだわりを見せる。寺山版から飛躍しながらも、へその緒はしっかりと結び付いている共作が見られることだろう。

 

LIVE INFORMATION

RooTS Vol.03 寺山修司生誕80年記念
書を捨てよ町へ出よう  
一般前売開始:10/17(土)
○12/5(土)~27(日) ※開場は開演の30分前
12/5(土)19:00開演
12/6(日)19:00開演
12/8(火)19:00開演
12/9(水)19:00開演
12/10(木)14:00開演/19:00開演
12/11(金)19:00開演
12/12(土)13:00開演/18:00開演
12/13(日)13:00開演
12/15(火)19:00開演  視覚障害者のための「舞台説明会」あり(要予約)
12/16(水)19:00開演  聴覚障害者のための「ポータブル字幕機提供」あり(要予約)
12/17(木)14:00開演/19:00開演
12/18(金)19:00開演
12/19(土)13:00開演/18:00開演
12/20(日)13:00開演
12/22(火)19:00開演
12/23(水・祝)13:00開演
12/24(木)14:00開演/19:00開演
12/25(金)19:00開演
12/26(土)13:00開演/18:00開演
12/27(日)13:00開演
※12/7、14、21は休演

作:寺山修司 
上演台本・演出:藤田貴大(マームとジプシー)
出演:村上虹郎 青柳いづみ 川崎ゆり子 斎藤章子 召田実子 吉田聡子 石井亮介 尾野島慎太朗 中島広隆 波佐谷聡 船津健太 / 山本達久(ドラマー)
映像出演:穂村弘(歌人) 又吉直樹(芸人)

【スピンオフ企画】  一般前売開始:11/14(土)
12/13(日)18:00 開演
芸劇+トーク 異世代リーディング
〈第13回〉「自作自演」
種村弘(歌人)×又吉直樹(芸人)

会場:東京芸術劇場 シアターイースト
主催:東京芸術劇場 東京都/アーツカウンシル東京
www.geigeki.jp

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