DON'T LOOK BACK INTO THE SUN
[ 緊急ワイド ] UKロックの次なる覇者は誰だ?
大物バンドのリユニオンも重なって復調著しい英国ロック界。しかし若手の底上げがあってこそ、ムーヴメントは未来へ繋がっていくというもの。期待の新星が続々と登場している2017年。本当の盛り上がりはここから始まる!
THE SHERLOCKS
シェフィールドで純粋培養されたギミックなしのギター・ロックを喰らえ!
ブラーがオリジナル・メンバーで大復活したり、オアシスのギャラガー兄弟が各々レコーディングに入ったりと、レジェンドたちの嬉しいニュースが続く一方、ロイヤル・ブラッドやウルフ・アリスらグランジ回帰勢を筆頭とする若手の台頭も目立ち、盛り上がりを取り戻しつつあるUKロック界。あとは長年待たれていた〈ポスト・アークティック・モンキーズ〉と呼べるような、正統派のギター・ロック・グループが出てくれば完璧……と思っていたところに凄いタマが現れた! しかもアークティックを生んだ街、シェフィールドから!
そのバンドの名はシャーロックス。キアラン(ヴォーカル/ギター)&ブランドン(ドラムス)のクルックス兄弟と、ジョシュ(ギター)&アンディ(ベース)のデヴィッドソン兄弟から成る彼らは、アークティックはもちろん、ビートルズ、ジャム、オアシス、エナミーをこよなく愛する4人組だ。結成は2010年と意外にキャリアは長いが、注目を集めはじめたのは自作曲を配信するようになった2014年からで、翌年には〈レディング・フェス〉への参加に加えてリバティーンズのツアー・サポートも経験。そして、昨年末にインフェクシャス(スーパーフードやDMA'sを輩出してブリット・ポップのリヴァイヴァル・ブームを仕掛ける重要レーベル)と契約し、このたび待望のファースト・フル・アルバム『Live For The Moment』をリリースしたのである。
THE SHERLOCKS 『Live For The Moment』 Infectious/HOSTESS(2017)
メンバーの音楽嗜好が物語っている通り、ここでは純粋培養されたブリティッシュ・ギター・ロックの王道を確認することができる。ズバリ一言、ノー・ギミック! イイ塩梅にハスキーなヴォーカル(ときおり顔を出すガナリも青臭くて最高!)、パワー・コードで攻めまくるやかましいギター、そしてドシッと重たいリズム・セクション――トレンドなんて脇目も振らず、誠実に自分たちの表現したいロックンロールと向き合っている様子があまりにも眩しくて、目眩を起こしそうなくらいだ。エディターズやトゥワング仕事で知られるプロデューサーのギャヴィン・モナガンとの相性は、言わずもがなバッチリ。このアルバムを前に多くの言葉は必要ないだろう。多少のぎこちなさも味に変え、強い歌メロと強い演奏で突っ走る。その堂々たる姿は感動的ですらあるし、〈いまこの瞬間を生きる〉という刹那的なタイトルもどうよ? UKロック好きを自負するなら、絶対にチェックしたほうが良い。