(C)Nikokaj Lund

癒しの美声と抜群のヴァイオリン演奏で紡ぐ、魅惑の映画音楽集

 豪州出身、語学など様々な分野に長けた才媛として知られ、A.ボチェッリやD.フォスターも認めた圧倒的な歌唱力と表現力で、現代を代表する歌姫として活躍中の彼女。4月に自らプロデュースを手掛けた紀尾井ホールでの〈シネマ・コンサート〉も好評を博し10月に名古屋と大阪での開催が決定。加えてファン待望の、映画音楽ばかりを集めた新作アルバムもリリース。今回はカヴァー曲だけでなく、12月2日公開のシリーズ最新作『ムーミン谷とウィンターワンダーランド』で映画の主題歌を初担当したことでも話題を集めている。

SARAH ALAINN Cinema Music ユニバーサル(2017)

 「子どもの頃からムーミンの大ファンなので夢のようです。しかも日本語(アルバムに収録)と英語(世界公開で使用)の両ヴァージョン歌えたことが嬉しい」

 アルバムはまるで舞台でエポニーヌ役を演じているかのような渾身の《オン・マイ・オウン》で幕開け。デュエットの名手で楽曲のオリジナル歌手でもあるピーボ・ブライソンとの超絶的な《美女と野獣》も圧巻。

 「7月にブルーノート公演で来日していた時にダメ元でお願いしたらOKが貰えて、異例の生オケをバックにした同時録音が実現。彼もそれに刺激されて、ノリノリで普段とは違うスキャットで歌ってくれた。ビーボ・ファンにとっても貴重なトラックになっています」

 オリジナルの雰囲気を活かした《白い恋人たち》はフランス語、以前の録音よりもサウンド面でスケールアップした《シネマ・パラディーゾ》はイタリア語で。しかもそれぞれの印象的なヴァイオリン演奏も担当。映画『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』のダンスシーンで使われたタンゴの名曲《ポル・ウナ・カベサ》ではソロでフル演奏に挑戦しているのも聴き処だ。

 「パールマンが演奏したものも大好きですが、今回はより親密な室内楽っぽい編曲…それだけに誤魔化しが効かない(笑)。ヴァイオリンは自分の原点でもあるので、頑張って毎日練習して録音に臨みました」

 最新大ヒット映画『ラ・ラ・ランド』からは《シティ・オブ・スターズ》の歌唱を中心に、感動のラストシーンを再現したかのようなメドレーも嬉しい。

 「ラストがいちばん泣けたし、素敵な旋律もたくさん登場する。あの寂しげなピアノも絶対入れたかった」

 日本映画からは『君の名は。』の名曲《なんでもないや》の英語と日本語による“胸熱”カヴァーも必聴。

 「個性的な曲なのでアプローチに苦戦したのですが、少年になりきって心で叫んでいるような気持ちで歌うとしっくりきた。新海監督は昔から大好きでした!」

 007メドレーやラストの《オールウェイズ・ラヴ・ユー》なども秀逸で彼女の映画に対する愛が伝わってくる。そして冬支度の季節にもぴったりな1枚かも。

 


LIVE INFORMATION

福岡ソラリアディナーショー
○10/29(日)19:00開演 福岡ソラリア西鉄ホテル

クリスマスディナーショー2017
○12/24(日)ディナー17:30~/ショー19:00~
第一ホテル東京 5F ボールルーム「ラ・ローズ」 ほか

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