トータスやスティーヴ・ライヒら名だたる大物とのコラボも行ってきた電子音楽家が、作曲/演奏/録音/編集まですべて自身で手掛けた11年ぶりの新作。牧歌的な電子音が静寂を包み込む“明滅する火花”、無垢な歌声を配した“サヴォナローラのまなざし”の冒頭からもう彼の描く音風景に引き込まれる。優しさと物悲しさが表裏一体となった“ネリと森のはなし”、足音や街頭の騒めきをコラージュしてシネマティックな映像を喚起する“ラダー・オブ・ミーニング”など、童話の世界に迷い込んだような感覚は唯一無二な彼ならでは。ストリングスの美しいレイヤーが感情を揺さぶる“深海の虹”の余韻も素晴らしい。
竹村延和『意味のたま』トータスやスティーヴ・ライヒともコラボしてきた電子音楽家がすべて自身で手掛けた11年ぶりの新作