オペラ歌手5人組ユニット“レジェンド”の最新作は、【ふるさとの合唱】と【東京の合唱】

 国立音大声楽科卒でイタリア留学経験を持つオペラ歌手5人組ユニット“レジェンド”。見事な響きで魅了するアンサンブルの新譜は、豪華2タイトル同時発売。今回はリーダーの吉田知明(テノール)と菅原浩史(バリトン)に話を訊いた。

 「むかしの日本の歌っていい曲が多いですね。いい声の歌手も多いですし、本当にいい曲は誰が聴いてもいい。世代を越えて愛されていますね」(菅原)

 「日本語で歌うときは、歌詞が聞き取れるように心がけます。カヴァー曲は、ものまねでなく、新提案しながら、独唱でなく合唱曲として」(吉田)

 リーダーの吉田は、イタリアに留学した時、日本の文化を満足に説明できない自分に気がついた。イタリアの〈カンパニズム〉のように〈オラが村〉に誇りを持つことに大いに刺激を受けたという。その視点は、レジェンドの地域創世プロジェクト〈ふるさとを訪ねてコンサート〉に生かされている。

レジェンド ふるさとの合唱 キング(2017)

 『ふるさとの合唱』収録曲は、これまで歌ってきたご当地ソングや合唱曲から選んだ。一曲目から力強い《イヨマンテの歌》。作曲は、福島県出身の古関裕而。古関作品について熱くバリトンヴォイスで語る菅原は、岩手県出身。東日本大震災直後、実家と連絡が取れず、車で物資を仲間と運んだ。その後、避難所でコンサートをおこない、歌でエールをおくり続けた。

 岩谷時子作詞・いずみたく作曲《夜明けのうた》は山形県出身の岸洋子のカヴァー。沖縄の曲はBIGINの《海の声》を選曲。《Cielite Lindo》(メキシコ民謡)、《グリーンスリーブス》(イングランド民謡)、《C'e la luna mezzo al mare》(イタリア民謡)はスタンダードなコーラス曲として。合唱少年少女に愛されてきた《怪獣のバラード》も思い出の青春の曲として並ぶ。

レジェンド 東京の合唱 キング(2017)

 『東京の合唱』の特筆すべき曲は、阿久悠作詞・千住明作曲《希望》だ。眠っていた未発表の歌詞にメロディがつき息がふきこまれ新たなる伝説が誕生した。

 「レコーディングの日は、阿久悠さんの命日でした。ご子息の深田太郎さんが立ち合ってくださり、千住先生の指導を受け、幸せな時間でした」(菅原)

 「スケールの大きい人生の春夏秋冬の歌は、中高生の合唱コンクールにもふさわしい曲。ざわざわした時代だけに、ぜひみなさんに歌ってほしいです」(吉田)

 《希望》に続く曲は《ウナ・セラ・デイ東京》《東京ドドンパ娘》《東京ブギウギ》《TOKIO》《東京音頭》etc…。懐かしい曲が新鮮に響く。

 結成10年、「くされ縁にならずに、発酵してる」“レジェンド”。成熟したハーモニーは平和と未来のために。

 


LIVE INFO

レジェンドクリスマスディナーショー2017
○12/14(木)ロイトン札幌 ロイトンホール
○12/18(月)ANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒル
○12/19(火)リーガロイヤルホテル広島
○12/21(木)帝国ホテル 孔雀の間
○12/24(日)名古屋銀行協会(ホテルオークラレストラン)大ホール

www.opera-legend.com/concert/