シカゴの才媛による昨年のフリー音源が待望のフィジカル・リリース。ノーネームやダニー・トランペット、プロデューサーのオッドカップルなど同郷の新世代アクトが参加しており、彼らの作品と共通するポジティヴな温かみが快い。チャンス・ザ・ラッパーを迎えた人気曲“LSD”のサンプリング元がドネル・ジョーンズ“Where I Wanna Be”だというシカゴ繋がりも、かの地の音楽的な豊穣さを証明するようだし、ルーツの“Eve”とキュアーの“Just Like Heaven”を引用して華やかな音色を加えた表題曲から、“Holy (Reprise)”での仄かなゴスペル味まで、音楽的素養の詰め込み具合も聴くほどにおもしろい。そして何より、気怠げながらコンシャスで芯の強さを感じさせる歌声が魅力的だ。