フル・アルバムとしては5年ぶりの新作。ここ数作はNYやLA移住などの動きを作品そのものに描き込んできた彼だが、物理的な移動を制限される状況下での創作が過去最高に明快なフロア寄りのダンス・トラックを生み出しているというのも実におもしろい。ミゲル・アトウッド・ファーガソンやハープ奏者ララ・ソモギとの手合わせなど作中のトピックは多彩ながら、純粋にハウスやクラブの薫りを感じさせるビートの躍動が希望のメッセージを内包して響いてくる様に感動を覚える。その触媒ともなったジョーダン・ラカイやジャミーラ・ウッズ、88ライジングのジョージ、カディア・ボネイといったヴォーカル陣も素晴らしいし、オフリンと共作した“Otomo”も光っている。キャリア最高傑作との触れ込みに偽りはない。