平成最後の燃える夏、平成最後のナツ・サマー

 出会い頭は冗談みたいな名前がまず印象に残ったわけだけど、気が付いたら毎年のように彼女の歌声と快いラヴァーズが恋しくなってる……。振り返れば2016年のデビューEP『夏・NATSU・夏』を皮切りに、昨年はファースト・フル・アルバム『Hello, future day』と、(冬にもいろいろありつつ)夏がくるたびに新しい都会派ラヴァーズ・サウンドを届けてくれるナツ・サマー。そんな高気圧ガールが平成最後の夏に用意したのは、念願だったという生バンドを従えてのEP『Natsu Summer & Dub Sensation』だ。

ナツ・サマー&ダブ・センセーション 『Natsu Summer & Dub Sensation』 Pヴァイン(2018)

 今回もプロデュースを手掛けるクニモンド瀧口(流線形)が書き下ろした季節感満開の新曲群が、軽快なリズム隊とオルガン、スティールパンの眩しい響きを伴って南風のように吹き抜けていく。さらに今回はe-muraがミックスを手掛けることで、いわゆるシティー・ポップ愛好家のみならずレゲエ・リスナーにもバッチリな風合いも加わっているはずだ。珠玉の5曲を挿む形で収まった波音のイントロと遠ざかる幻影のようなアウトロで雰囲気作りも上々、うだるようなこの季節の熱気をいくばくか爽やかなものにしてくれそうなこの夏のセンセーション。太陽の下でも涼しい部屋の中でも、どうぞご自由に。

ナツ・サマーの作品。