前作は比較的ストレートなロック・アルバムだったが、今回は冒頭の“webザコ”から身も蓋もない歌詞と情報量過多なサウンドが炸裂する、最高に彼ららしい作品に。ジャングルやファストコア、ユーロビート、渋谷系、漫画の名台詞などを力ずくで引用し、ネガティヴすぎて逆にポジティヴな心情を景気良くブチまける。かと思えば普通に“恋の奴隷”“約束の青”といった名曲もあり、決してナメられないバンドである。
前作『もょもと』から約1年ぶりにリリースされた4作目。内に向かった膨大な自我やエネルギーを、これまではひたすら内に向かって出してグツグツ煮込んだものもあれば、外に向かって発散しまくったものもあったと思うが、そういう意味ではこれまで以上に外に向かって放出された楽曲が揃ったイメージ。ライヴ映えしそうな“webザコ”で始まり、スティーヴィー・ワンダーみが感じられる素直なラヴ・ソング“笑いあうために”、本当に〆切が大変なんだろうなと思えるスカ・ロック・ナンバー“〆切を守れない~無力~”まで、バラエティに富んだ11曲。
そんな中でもギタリスト・夏目創太が作詞したという“カルマポリスII”が異色中の異色。あの有名曲のIIを勝手に作っちゃっただけでも問題なのに、曲調もどこかで聴いたことある感じだし、何より歌詞が本当に酷くて……酷すぎて逆にサイコー。マジで本家に訴えられても知らないぞレヴェル。