演奏に、プログラムに、ネマニャの個性が輝き出た痛快な一枚。ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲など、冒頭からむんむんとした熱気がたちこめ、ネマニャのヴァイオリンが物凄いグルーヴ感とともに疾走。第2主題では一転してポルタメントを絡めた甘美極まりない音楽世界が現れる。この強烈なコントラストは全曲を一貫し、終楽章のコーダへ向かって集中してゆく熱いエネルギーが聴き手を感動に誘って止まない。セドラー編曲《シェエラザード》は、原曲を約半分に濃縮し、ヴァイオリンの特殊奏法を織り交ぜた激しい起伏と曲想変化がネマニャの奔放な個性を際立たせ、たいへんな聴き物となっている。