モーツァルトのソナタ全集で強烈な存在感を刻んだアリーナ・イブラギモヴァがフランクを録音。引き締まった濃い音色と緩みを厳しく排した音楽のたたずまいに惹き込まれる。イザイの自作を冒頭に置き、彼のために書かれた作品、フランクの名作を筆頭に、ヴィエルヌ、リリ・ブーランジェという師弟軸を通すことで濃密さを増した好選曲。ヴィエルヌは堂々たる構えを備えた逸品で、アリーナの一点を突き詰めるような弾きぶりが凛々しい。ティベルギアンのピアノがまた明敏な詩情に満ちて魅力的。互いの信頼と尽きることのない語らいの深まりが全編に編み込まれた。当代最高のデュオである証しというべき一枚だ。