音楽ライターの南波一海がタワーレコード内に設立したアイドル専門レーベル、PENGUIN DISCの看板4人娘=RYUTistが、ニュー・シングル“センシティブサイン”を4月23日(火)にリリースする。表題曲は21歳のシンガー・ソングライター、シンリズムが作詞・作編曲を担当。さらに、カップリングの“素敵にあこがれて”はカメラ=万年筆/Orangeadeの佐藤望が作詞・作編曲、“バ・バ・バカンス!”はmicrostarとWack Wack Rhythm Bandが共作と、ポップ・ファン垂涎の3曲を収めたCDになっている。
Mikikiでは同シングルのリリースを記念し、プロインタヴュアーの吉田豪がメンバーひとりひとりに個別インタヴュー。第1回目は横山実郁編を掲載する。ソロとして活動していた彼女がRYUTistに加入する経緯や、後進かつ最年少メンバーならではのグループへの想いを明かしてくれた。 *Mikiki編集部

真っ黒で、南国から来たみたいな女の子
――今日はさすがに緊張してるみたいですね。
「1対1っていうのはちょっと緊張します……」
――RYUTistで一番しゃべれる人じゃないんですか?
「そんなことないです!」
――横山さんは大丈夫だろうなっていう安心感があったんですけど。
「そうでもないです(笑)。いつもすごい緊張します」
――まず、ご自分の性格はどういうふうに認識してますか?
「周りの人からは〈明るいね、元気だね〉って言ってもらえて、自分でも元気にしようと思わなくても常にテンションが高い感じはあるのと、その半面だらしなかったりマイペースな部分もあるなって思います」
――だらしない(笑)。
「忘れもの、すごいしちゃうんですよ。それでメンバーに迷惑かけたりもしてて。そういうところは嫌だなと思ってます」
――まじめなおとなしい人ばかりのグループに、ようやく強めにイジッても大丈夫そうな明るい人が来たぞっていう感じはありましたよ。
「そうですね、たしかに。いろんな方にイジッてもらえます。ヘコまないのでガンガン来てもらって大丈夫です!」
――どんなお子さんでした?
「お兄ちゃんが3人いて、男の子がいっぱいいる家庭だったので、外に出て遊ぶのがすごい好きな、活発な子だったと思います。でも、歌ったり踊ったりすることも人前に立つことも好きで、小さい頃はピアノを習ってました。オーディションを受けたときもひとりだけ真っ黒で、南国から来た女の子みたいな感じでしたね」
――男兄弟が多いとそうなりますよね。
「しかも歳が離れてたのでケンカとかもなかったんですけど、女の子らしさはあんまりないかもしれないです」
1時間半のライヴが喋りすぎて3時間に
――事務所に入ったのはいつなんですか?
「RYUTistの妹分でデビューするユニットを作るためのオーディションが最初で。それで小学校5年生のときに、あとふたり一緒に合格して」
――あ、もともと3人組グループになる予定だったんですか?
「そうなんですけど、結局ソロとふたり組になってビックリしました(笑)。私がピアノを習ってたグループのお友達のお父さんが(旧メンバーの大石)若奈さんが通ってる学校の先生だったんですよ。そのお友達のお母さんと若奈さんのお母さんが仲良くて、〈今回こういうオーディションが事務所であるんだけど、みんなに配ってみて〉っていう感じで若奈さんのお母さんから回ってきたチラシをもらって、どうせ受からないだろうけど興味本位で受けてみようかなって思って」
――RYUTistのことは認識してたんですか?
「してなかったです(笑)。Negiccoさんは長岡のTSUTAYAさんでインストア・ライヴしてるのをたまたま観てすごいと思ったりして、もちろん存在は知ってたんですけどRYUTistは知らなかったです。自分で調べました」
――で、どういう経緯でソロ・デビューすることになったんですか?
「特に何も理由とか聞いてなくて、プロデューサーさんに呼ばれて〈今後のことなんですけど、ふたりはhina-hinaとしてデビューして、実郁ちゃんはソロでデビューします〉って言われて……泣きましたね」
――いきなり不安ですよね。
「すごい不安で。ずっと3人でレッスンしてきたので、ここからひとりで何するんだろうって」
――この子はソロでも売れるっていう可能性を感じたわけですかね?
「そうなんですかね? でも、そのときはまだ小学校6年生だったので、なんでなんだろうとかもあんまり考えずに、ひとりになるんだなっていう感じで。それで、ひとりでレッスンをしはじめて。最初は(2013年の)12月ぐらいにデビューする予定だったんですよ。そしたら先にhina-hinaちゃんがRYUTistのバック・ダンサーとしてデビューすることになって、デビューが延びて。じゃあ次の2月の中旬にデビューしましょうってなったんですけど、それも延びて。で、3月9日が日曜日だからってことで、やっとソロ・デビューした感じでした」

――最初からああいう方向性だったんですか?
「そうですね。バンドでやりたいっていうのも最初から決まってて、衣装もプリキュアさんみたいな感じで」
――“鮫とゾンビ”(曲名)とか相当インパクトありましたよ。
「インパクトすごいですよね、しかも、サビでずっと繰り返して。自分で歌ってて、あんまり考えてなかったです。だからこの歌は歌いたくないなとかもなくて」
――〈なんで“鮫とゾンビ”なんですか?〉とか言うこともなく。
「ノリノリで歌ってましたね(笑)。タイトル的には“聖凛のミクウイロウ”っていう曲もあって、それは私が架空のヒーローみたいな設定の曲だったんですけど、けっこうインパクトの強い曲がたくさんあって。カヴァー曲もかなり攻めて」
――PINKとか。
「そうです、(PINKの)“Traveller”とか。あと奥田民生さんの“ああ、エキセントリック少年ボウイ”とか、コロコロチキチキペッパーズさんの“さぁ”※って曲を卓球のラケット持って歌ったり、かなりチャレンジしてたなって思います」
※元はSURFACEの楽曲
――RYUTistのカヴァー曲も攻めてましたけど、この子はもっとおかしなことをやらされてるなとは思ってました。
「そうですね、かなりおもしろかったです。振り返るとだいぶ攻めてたなって。ライヴでもしゃべりだすと止まらなくなっちゃうタイプで、ファンの方と会話する感じでMCをやってて、1時間半で終わるライヴを3時間ぐらいやったことがあって」
――MCが1時間半ってことですか?
「たぶんそれくらいやってたんだと思います。PAさんが〈まだ終わんないのかよ〉みたいな感じで怒ってたって後から聞いたんですけど、けっこう自由奔放にやってたなと思います。ソロのときはソロのときで楽しかった」
――3人組グループよりもソロのほうが良かった?
「どうなんですかね、3人組でやったことないからわからないですけど。でもRYUTistに入って、グループに入ったらグループの良さも難しさもあるし、ソロはソロで楽しさもあればステージに立つのはひとりなので、それに対する不安だったり、気持ちの面ではひとりもたいへんだったなって思います」
――一緒にやるはずだったふたりはどうなったんですか?
「わからないうちにいなくなっちゃったんですけど、仲は良くて。事務所に所属してるアイドルさんたちで合同レッスンをやってた時期はやっぱり先輩がすごいから。ダンスもバッキバキだし覚える速度もすごく速くて追いつくのに必死で、3人で一緒に練習してました。なので(いなくなって)ビックリしましたけど。いまもたまに連絡するとふたりとも元気そうなので、良かったなって思います」
――ソロ時代、目標みたいなものはありました?
「ダンスを教えてもらってたのもRYUTistと同じ(横山)未来先生で、たまにレッスンでRYUTistの踊りを練習したりしてたので、身近にいたRYUTistはやっぱり一番身近な目標でした。でも、あんまりここでやりたいとか、どこに行きたいとかはいまと変わらずなくて(笑)。とりあえず目の前のことを一生懸命やろうっていう」
――RYUTist体質じゃないですか!
「そうなんですよ(笑)。どれだけファンの人にライヴを楽しんでもらえるかをお母さんと一緒に考えたり、MCも考えて。目の前のことに精一杯で、野望みたいなのはなかったです。いまと変わらず、提案していただいたものを一生懸命やってました」

――なんでみんなそういう考えなんですかね。アイドルやる子ってもうちょっと自意識というか、〈私を見て!〉みたいな感情が強いと思うんですけど。
「あんまりないんですよね。なんでだろう? ソロだったぶん、見る人が自分しかいないからそういう意識がなかったのかもしれないですけど。競争する相手もいなかったですし。hina-hinaちゃんもそうですけど、結局周りが先輩ばかりだったので、〈あの子を蹴落として〉みたいなのはまったくなかったですね。のほほんとした感じで平和にやってました」
――そのままソロ活動が続くんだろうなと思ってたわけですよね。
「はい、もちろんソロが続くと思ってて。ただ、このままで大丈夫かなと思ったことが1回だけあって」
――なんですか!
「たいしたことじゃないんですけど、小学校6年生でデビューして、中学校2年生までの3年間ソロをやって、1回も衣装が替わらなかったんですよ。でも、サイズが小学生のサイズだったので」
――思いっきり育ち盛りですよ!
「それでデコルテの露出もけっこうある衣装だったので、下がってきたりすると危ないなっていう意識があって。RYUTistって周年で衣装が替わってたじゃないですか。きっと私も1年頑張ったら衣装が替わるんだろうなって思ってたんですけど、3年間ずっと変わらなくて。人に着せてもらわないと着れない衣装だったんですけど、ガッガッと落ちないように絞めてもらって」
――デビュー直後の横山さんにも会ってますけど、そこからけっこう大きくなりましたよね?
「そうなんです、身長もけっこう伸びて。最後のほうは踊ってるとインナー丸見えみたいな状態で」
――セクシー・アピールするような人じゃないのに!
「ぜんぜん違うのに、MC中にググッと上げたりしてて。1年目はもう1年がんばるんだなと思って2周年を迎えて、まだこの衣装を着るのかって思ったことはありました。でも、それでソロを辞めたいとかはなくて」
私が入らないほうが3人でうまくやってたのかなって
――〈私にあまり力を入れてないんじゃないか?〉みたいな不安は?
「1回だけちょっと疑問に思いました。この衣装をこのまま着続けるのかなって。でも、ソロをずっと続けていくと思ってたので。まさかRYUTistに入るとは思いもよらないじゃないですか。しかも、〈RYUTistに入れたいと思うんだけど実郁はどうしたい?〉〈実郁がソロを続けたいんだったらぜんぜんいいよ〉って感じの聞かれ方だったんですよ。私の意思で今後の道が決まるなと思ってすごい悩みました。
完成されてるところに入るから、私自身が覚えなきゃいけない負担もあるけど、3人はそこにいきなり違うものが入ってきたら、流れが乱れるじゃないですか。それでバランスを崩してしまうのもなーとかいろいろ考えて。考えに考えた結果、入ることに決めたんですけど、入った当初は〈私の選択は間違ってなかったのかな?〉って、そういうことを考えるときもありました。曲数もすごく多くて」
――持ち曲のレベルが違いますからね。
「150曲とかあって。それを覚えるのもたいへんだったし、若奈さんが卒業される前に、〈実郁ちゃんが加入するから〉って振りの動画を全曲撮って残してくれてて。しかも若奈さんひとりヴァージョンと、全員のフォーメーションがわかるように全員ヴァージョンを撮ってくれて、その労力もすごいたいへんじゃないですか」
――引き継ぎがそんなにちゃんとしてたんですね。
「100%そのおかげでいま曲を引き継いで踊れてるんですけど、やっぱり私の力不足でライヴ中に大きいミスをしちゃったりしてて。そういうのがあったときに〈ごめんなさい!〉って気持ちになるのもそうなんですけど、これは私が入らないほうが3人でうまくやってたのかなと思っちゃってたときはありました」

――らしくないネガティヴな思いが一時は……。
「ありましたね。ファンの方も戸惑うじゃないですか? 卒業と思ったら次の週には加入ライヴがあって、きっと気持ちがグチャグチャになってた時期だと思うんですけど。やっぱりそのなかで、いままで若奈さんが積み上げてきたものがすごく高いから、最初は比べられちゃうだろうなと思ったんですよ。若奈さんはダンスもキレキレだし。比べられるのがちょっと怖いなって。1回そういうことを考えはじめると止まらなくなっちゃうんですよ。普段考えないぶん一気に落ち込んじゃって、一時期はズーンとお家でひとりで考えてたことはありました」
――どうやってそこから突破できたんですか?
「わからないんですよね。でも、メンバーといると楽しいし、ライヴしててもファンの人とお話してても楽しくて。〈ここにいていいんだよ〉ってみなさんが特典会とかで言ってくださるんですよ。〈実郁ちゃんが入ってくれてよかった〉とか、そういうちっちゃい言葉ひとつひとつが、ちょっとずつ私の心を埋めていってくれたんじゃないかなと思います」
――特典会であからさまに不安そうな顔してたんですかね?
「そうかもしれない(笑)。それだったらみなさんに申し訳ないなあ。1周年でお花を用意してくださったり、幸せ者だなと思うと同時に、そこであきらめないでちゃんと感謝の気持ちでみなさんに返していかなきゃいけないなと思って。それをやるために活動してるって感じですかね」
――当時、ネットで〈ソロをもっと観たかったのに〉みたいな意見は目にしましたね。
「そう言ってくださる方もいらっしゃいましたね。それはすごくうれしかったです。私、卒業ライヴってやってないんですよ。何も言わずにいきなりRYUTistに入ったので、〈これが最後のステージです〉とか何も言わない状態でみなさんに嘘をついてしまってる期間があって。もうRYUTistに入ることは決まってたけど、ある日から私のライヴ情報が途絶えていて、〈その後はどうなるの?〉ってみなさん訊いてくださるんですよ。(2016年の)4月23日にRYUTistに加入するって決まってるんだけど、言えないから、〈いや、どうなんですかね?〉って。それは心苦しかったし、みなさんもみなさんで、これが最後だって思ってなかったライヴがまさかの最後のライヴだったから、まだソロを観たかったって言ってくださってるんだとは思うんですけど」
――そういうことだったんですね。
「だから、ちゃんと卒業ライヴをやったほうがよかったのかなっていう思いもあります。そしたらもうちょっとみなさんに優しかったのかなって。みなさんのことを考えたら、やっぱり卒業だと思って観るライヴって特別だから」
――加入した後でもいいから、1回だけラスト・ソロみたいなライヴを。
「そうですね、やってもよかったのかなって。たまに誕生日ライヴとかでソロ復活させちゃってる自分もいて(笑)。バースデー・ライヴのひとつの楽しみとして実郁のソロっていう企画があるんだったら、卒業しなくてもいいのかなと思います」
――ホントにRYUTistがすごいと思ったのが、卒業や加入のお知らせをかなり早い段階で関係者に送ってきて、それが一切漏れないことで。
「一切漏れなかったですよね」
――メンバーも関係者も口が堅かったという(笑)。
「4人でそういう話になったときに、メンバーも心苦しかったって言ってて。若奈さんの卒業ライヴで〈この後3人でがんばってねってみんなに言われるけど、じつは実郁ちゃんが入るんだよなって思いながら、がんばりますって言うのがつらかったし、実郁ちゃんこのあと入りにくいだろうなと思ってた〉ってみんなが言ってくれて、考えてくれてるんだなって思いました」
メンバー全員、キャピキャピした感じに変わってきた
――RYUTistに入ってみてどうでした? それまでにメンバーのみなさんとは一緒に練習もしてたし、比較的馴染みやすかったのかもしれないですけど。
「最初はめちゃめちゃガチガチでした……。いまは〈ウェーイ!〉みたいな感じでやってますけど、最初はソロのときの先輩後輩の関係が変わらず敬語でやってたんですよ。で、入ってすぐ(宇野)友恵さんから〈私のこと、ともちぃって呼んでいいよ〉ってLINEが来てうれしくて、〈ともちぃさん〉って呼んだんですよ。そしたらダンスの先生に〈慣れるの早いから〉って怒られて」
――言われたとおり呼んだだけなのに!
「〈まだ加入したばっかりだし先輩後輩(の関係性)もちゃんとしなきゃいけないから、そうやって慣れるのはまだ早いよ〉ってご指摘をいただきまして。それで〈友恵さん、(佐藤)乃々子さん、(五十嵐)夢羽さん〉って呼んでるんですけど、それはいまも継続中ですね。いま呼ぼうと思えば呼べるんですけど、〈むぅたん(夢羽)〉とか言うの恥ずかしくなっちゃうんですよね」
――1回定着した呼び方を変えるのは相当勇気いりますよね。
「はい、ちょっと恥ずかしくて。さんづけは継続ですけど口調はタメ口で、同い年なんじゃないかぐらいなれなれしく話してますね」
――最年少の後輩が。
「ホントにそうなんですよ。〈前からいた感じする〉ってメンバーにすごい言われてて。たしかに自分でもビックリするぐらい溶け込めたなと思ってます。私けっこう人見知りなんですよ」
――え?
「〈え?〉じゃなくて(笑)。初めての人に話しかけるの苦手だから、学校でも最初は友達いないんですよ。自分からは声をかけられなくて、8月くらいまでずっとひとりで昼休みとか過ごしてて。その私がよくここまですんなり溶け込めたなと思うので、それはメンバーとスタッフさんのおかげでしかないなと思います。慣れるまで自分からガンガン行けないので、メンバーが〈実郁ちゃん実郁ちゃん〉って言ってくれたおかげだなって。ビックリするぐらい自分でも変わったなって思います」
――基本みなさんおとなしい人っていうイメージですけど、入ってみての感想は?
「最初はもうそのままでした。おとなしいお姉さん。乃々子さんとか美人のお姉さんだなと思ったし、友恵さんも大人だなって思って。夢羽さんのキャピキャピしたイメージは変わらなかったですけど、みんな〈ワーイ!〉みたいな感じはなくて。ホントに最近みんなが変わりはじめた」
――ちょっとはしゃげるようになってきて。
「そう、はしゃげるようになって。乃々子さんも前は〈スッ〉て感じでむぅ&みくがワチャワチャしてるのを見守るみたいな感じだったんですけど、いまでは一緒に遊んだりして。昨日、自主練してたんですけど、けっこう元気な曲を歌ってて、なぜかわからないけどみんなでグルグル走り回りながら歌うみたいなことを、ひとりが始めたらみんなはしゃいでやりはじめて。キャピキャピした感じに変わってきたなって思います」
――横山さん効果があると思いますよ。
「ホントですか?」
――入った意味があったっていう。
「よかった。そう言ってもらえるのはうれしいです。ライヴのMCも、最近フリーでしゃべれるようになってきて。前はガッチリ台本を決めて、ここは誰が言う、ここは誰ってライヴ前に練習を2回ぐらいやって、考えた台本を一語一句間違えないようにやってたんですけど、最近は自然にいつもどおりのトーンでみんな話せるようになって。私も変わったなと思うし、メンバーもみんなそれぞれ変わったなって思います。いい効果ですかね?」
――確実にいい効果です。絶対、自由に話したほうがいいですよ。
「よかったです」
――もう〈私、入らないほうがよかったんじゃないか〉って思うことはなくなりましたか?
「なくなりました。まだまだだなって思うことはあるんですけど、それで入らないほうがよかったなって思うよりも、もっとがんばって早くみんなと同じレベルになって、もっとRYUTistがいい方向になるようにがんばろうってプラスの方向に考えられるようになりましたね」
――プラスに考えれば全部いいことだと思うんですよ。世間で評価されているグループに、いいタイミングで加入したっていうのは。
「ホント、いいところに乗っかってきた人ですよね。ファンの方が温かく迎えてくださったっていうのもあるんですけど、変わり目のときにスッと入って、ここまでスムーズにこれたのはよかったなって思います」

RYUTistがプライベートみたいな感じ
――ボクのイメージだと、RYUTistは人間関係がギクシャクすることはないだろうなと思ってて。距離感として、よそよそしくはあっても。
「私はけっこう深く関わってると思いますね。メンバーそれぞれ考えることが違って、グループってそれをうまくまとめるのが難しいじゃないですか。(RYUTistは)いいバランスでちゃんと意見を言う人と、それをうまくまとめる人とっていうバランスがすごいよくて、それをみんなあえてやってるわけじゃなくて、そのままの状態で意見がぶつかってもお互いの妥協点をうまい感じに見つけられて。だからギクシャクしないんだと思います。
メンバーでもけっこう話し合うんですよ。今回の新潟LOTSさんや新宿ReNYさんもそうなんですけど、ライヴの前に自分たちは何をしなきゃいけないのか4人で話し合う時間を作ってるので。だからひとりで突っ走って何かやって、〈ちょっとちょっと!〉ってなることがあんまりないし、そういうところはリーダーが時間を作ろうって言ってくれるので、乃々子さんがリーダーでうまくまとまってるのかなって思いますね」
――練習の時間も相当取ってるグループなのに、話し合いの時間もちゃんとあって。当然、プライベートがなくなっていくわけですよね。
「そうですね。RYUTistがプライベートみたいな感じです。ひとりで遊びにとか友達と遊びにとかはあんまりなくて、メンバーと一緒にいることが多くて。RYUTistが日常のすべてだから、スタッフさんがいるかいないかで仕事かプライベートかが変わってくる、みたいな。遠征とか行くとスタッフさんももちろんいらっしゃって、お仕事しに来てるんですけど楽しいし、こないだ乃々子さんのお家に遊びに行ったんですよ、猫を見に。3人だけで電車を乗り継いでいって、乃々子さんが駅まで迎えに来てくれて。RYUTist4人で集まってるけどプライベートで楽しかったです」
――オフにメンバーだけで遊ぶってアイドル・グループ、あんまり聞いたことないですよ。
「初めてだったんですよ、メンバーで遊ぶのが。友恵さんも〈8年間活動してきてメンバーのお家に遊びにいったの初めて〉って言ってて」
――それも横山さん効果だったりするんでしょうね。
「どうなんですかね、猫ちゃん効果もあると思います。猫ちゃんがかわいすぎるのでみんなで見にいこうってなって。楽しかったです」
――それぐらいプライベートがないと寂しくはないですか? ほかの人たちが学生生活を楽しんでるときに。
「寂しくないですね。なぜかわからないんですけど、実郁もみんなと同じくらい充実してるもんっていう自信があって。みんなが部活動とかがんばってるぶん、私はRYUTistをがんばってるし、みんなが友達同士で旅行してても、私もRYUTistとしてメンバーと東京さんに来たり北海道さんに行ったりして、たとえお仕事であってもメンバーといるのは楽しいし。すごく素敵な経験をRYUTistでさせてもらってるので、同じくらいっていうかそれ以上に充実してるなと思ってるので、寂しいとは思わないですね。ちょっと自慢に思うくらい。いいでしょって」
――アイドルを辞めてふつうの人生を送りたいなとか、揺らぐこともない?
「揺らぐことはないですね。この活動をやってなかったら何してるかなって考えることはあるんですけど、ぜんぜん思い浮かばないんですよ。自分が女子高校生としてワイワイキャッキャやってるのが想像できなくて。部活動やってる姿とかもぜんぜん想像できなくて、RYUTistとして衣装を着てステージに立ってるいまの自分がすごいしっくりきてるので、揺らいだりはしないです」
――確実にこっちのほうがおもしろいと思える。
「こっちのほうがおもしろいなって思います」
幸せの連鎖が生まれるグループ
――その後は迷ったり悩むことはほぼなくなった感じなんですか?
「ないですね。迷う時間もないっていうか。たしかに入った当初ガーッと物事が進んでて時間もなかったんですけど、いまは余裕もありつつ充実した日々を送れてるから、あんまりガッとスイッチが入ることはなくて。ホントに素敵な作品をたくさんいただいてるぶん反響も大きくて、だからもっとがんばろうって思えるのは大きいなって思います。手応えって大事ですね」
――大事だと思います。ボクもそれがあるからやっていけてます。
「一緒だ! だから、いまは迷わないです」
――あと個人的にずっと疑問だったのが、なんでRYUTistはこの平和な空気が保てているのかってことで。運営の安部(博明)さんとかはヤンチャな空気があるじゃないですか。配信とか観ててもあきらかに言葉遣いが悪いし。
「ハハハハハハ! そうですね、かなり危険な匂いがしてますけど」
――それなのに、グループとしてはものすごい平和な空気感で。
「そうですね、やっぱりメンバーが大きいかなって思います。たしかに危険そうな人はいるけど(笑)。でも、メンバーは絶対にいい子だから、そもそものメンバーの性格もあると思うし、すごい危険な人がいるなかで……」
――あんまり危険危険言うのもアレですけど(笑)。
「ちょっと口調が悪い人がいるおかげでよく見えるのかなって」

――なるほど! 横に口が悪い人がいると(笑)。
「メンバーの取り巻く雰囲気が平和だなって思います。きっとひとりが平和で、そこで私がイライラしてたとしても、その平和な人と触れた瞬間に自分も気持ちが平和になるっていう、いい循環みたいなのがこの4人のなかで出来てるのかな。
みんなもきっと悩んでることはあると思うし、それでもギクシャクせずにあの平和な感じを保っていられるのは、平和の連鎖みたいなのが続いてるのかなと思いますね。自分はRYUTistに入らないほうがよかったのかなって悩んでた時期も、悩むのはひとりでいるときだけで、メンバーといるときはそんなこと考えなかったんですよ。メンバーといて楽しいなってホントに思ってたし。だから、いい子たちが3人いたら平和な空気が生まれるみたいな」
――横山さんもそっちに引っ張られるぐらいに。
「はい、たぶん。そういう幸せの連鎖みたいな感じで3人が生む渦みたいなのがあるのかなと思います」
ハコイリ♡ムスメが横山実郁に与えた影響は〈うるさい顔〉?
――それから、RYUTistはものすごくマイペースなアイドル活動をしてるグループだと思うんですけど、そういう人がハコイリ♡ムスメみたいな正統派アイドル・グループと柳♡箱としてガッツリ絡んでみて、どういう思いを抱きました?
「ホントにアイドルさんだなって。めちゃめちゃかわいいし、ハコムスさんに影響を受けたことってたくさんあって。RYUTistは踊りの向きを揃えるとか角度を揃えるとか、カウントを乱さずみたいなのを意識して練習してきたんですけど、ハコムスさんのライヴを観て、感情が伝わってくるなと思って。女優さん志望っていうことで、曲に対する気持ちの入れ方とかすごく上手だし、ライヴを観てて、〈ダンスすごいな〉とかよりも〈楽しいライヴだったな〉とか、〈この曲のこの子の表情よかったな〉って思うようなライヴをされるんです。
それに影響を受けて、もっと自分たちの気持ちを前に出して何かしたり、曲をいただいたときに詞を見てみんなで話し合って、ひとりひとりの曲のイメージを統一させて歌ったりするようになって。だからハコムスさんと一緒にやらせていただいたことは、それこそRYUTistにまた新しい風を吹き込むようなことだったなと思うし、何よりお友達が出来てうれしかったです」
――表情も意識するようになったんですか?
「なりましたね。すごく深いところまで考えるようになったんですよ。この曲の主人公は何歳ぐらいの女の子で、きっといまこういうことを考えてて、みたいなのをメンバーで話し合って。ライヴで写真を撮ってくださる方もきっといらっしゃるので、ちゃんとそういう曲への想いが伝わるように表情も意識するようになったし、歌い方も曲によって変えるのはそうなんですけど、どうしたらより感情が伝わるかとか。私の声って歌うと元気なキャピキャピした声なので、悲しい曲とか切ない曲になったときにどうやったらうまく切ないふうに聴こえる声を出せるか研究したり。そういういいきっかけになったと思います」
――表情を意識するようになった結果なんですかね、南波さんが〈顔がうるさい〉って言い出したのは(笑)。
「ひどいですよね(笑)。顔がうるさいってホントにひどい! もともと濃い顔してるんですよ、眉毛も太くて。それでもっと表情を意識しようと思ったら、たぶん顔がうるさいことになってしまったんだとは思いますけど(笑)。そうなったきっかけではあるかもしれない」
――あのレベルのかわいい子たち(ハコムス)と一緒に仕事すると、劣等感とかは生まれないですか?
「生まれないです。劣等感よりもドキドキしちゃって、〈かわいい!〉って。職権濫用じゃないですけど、いちファンになっちゃったらもうドキドキしっぱなしで。ハコムスさんもハコムスさんで、〈あー実郁ちゃーん!〉みたいな感じで抱きついてきたりするんですよ! 〈……おぉ!〉みたいな、幸せな気持ちになりますね。劣等感とかはまったくないです」
――マイナスな感情は一切出ない、ただの幸福感(笑)。
「早く会いたいなって思います。ファンの方には申し訳ないなってホントに思いますね。幸せにあふれてます」
メンバーはもう絶対に減らさない、私が止めます!
――目の前のことを着実にこなすタイプなんだとは思いますけど、この先、何かしたいことはありますか?
「RYUTistとして絶対にもっと大きくなりたいです。どこに立ちたいとか具体的なものはないんですけど、もっとたくさんの人にRYUTistを知ってもらうのはもちろん、その都度ちゃんと自分たちが立つステージを上げていきたいなって思うのと、大きくなることばっかりを考えないで、ちゃんと応援してくださるみなさんのことも考えていきたいなって思いますし、ずっと続けていきたいですね、できるところまで。素敵な曲をいつもいただいてるので、いままでいただいた曲を大切に歌うのもそうですし、辞めることなくいまのメンバーでずっと続けていきたいなって思います」
――もうメンバーが減らないように。
「はい、絶対に減らさないです。私が止めます! このメンバーで続けていきたいなって思います」
――その決意はハッキリしてるわけですね。
「はい! 最年少としてがんばっていきたいと思います。気合いだけはあるので、空回りしないように」
――以上です! 今日はしゃべれました?
「はい。ソロのときのこととかぜんぜん話す機会がなくて。やっぱりそのときのファンの方の気持ちを考えるとっていうのもあって、私自身あんまりしちゃいけないんだろうなと思ってたんですけど、ちゃんと話せてうれしいです」
――1回だけソロ時代に一緒に写真を撮ったとき、ものすごいちっちゃかった印象があるんですよ。
「ちっちゃくて細くってヒョロヒョロって感じでしたよね。怖かったですもん、豪さん(笑)」
――さらには杉作(J太郎)さんまでいて、なんでこんな怖そうな大人の間に入って写真撮らなきゃいけないんだっていう(笑)。
「ちょっとだけ怖かったです。ご挨拶だけで写真まで撮ると思わなかったので、大柄な男性ふたりがズンッて(笑)。でも、いまは怖くないです。ぜんぜん大丈夫です!」
