春の到来にあわせてCDシングル『春風烈歌』を発表、ツアーの開催も控えているRYUTistの3人。そのRYUTistの宇野友恵さんによる本についての連載が、〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉です。第32回は、新潟のラジオパーソナリティーである遠藤麻理さんの著書「な〜る な〜る な〜る なんとかなる なるようになる なんとでもなる」と、友恵さんの苦い思い出や自身の変化について。 *Mikiki編集部

★連載〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉の記事一覧はこちら


 

新潟あるあるですが、冬はどんよりと薄暗く、青空が見えることがあまりないんですよね。
曇り空が普通で、そうした天気に自分もときどき引っ張られてしまいます。

今年も少々苦手な冬は終わりに近づき、朝が来るのが早くなってきました。
春はもうすぐそこです。

 

先日、RYUTistのニューシングルをリリースしました。
“春風烈歌”という曲です。
曽我部恵一さんに作詞・作編曲をしていただきました。
ジャケットはサニーデイ・サービスさんの『東京』のような桜のジャケットで、初見で「やべえ」と一言、声が出ました。
MVも公開され、かっこよく味わい深く仕上げていただき感謝です。
初めて挑戦したベース。スリーピースバンド。やべえ。音は出さなくても本当にライブで演奏しているようにと指示をいただき、イメージした方たちはもちろんサニーデイ・サービスさんです。

素直な喜びと、大変なことになってるぞという動悸が交わる中、私事ではありますが、4月1日に誕生日を迎えました。(この記事が公開される頃には25歳になっているはず。)おめでとう、わたし!

 

まだこの連載を持つ前のこと。
2018年春に新潟のラジオパーソナリティー遠藤麻理さん(愛称エンマリさん)と印象に残った本について、北書店さんでトークイベントをさせていただいたことがありました。
グループ活動から飛び出して一人で何かをするということに耐性がなく、そもそも人と会話ができないのに、大丈夫なのかと私を知る全員が思ったでしょう。
口から出る声はずっと震えて今にも消え入りそうなボリュームでした。
〈お話しする〉イベントなのに、自分の話すことを一言一句メモして、テスト勉強のように何度も反復して準備していき、いざ当日、〈お話しする〉アドリブがくると頭が真っ白ぽかーん。
思い出して、冷や汗が出てきます。やべえ。

このイベントをきっかけに知った、エンマリさんの名言〈やるだけやったら なんとかなる なるようになる なんとでもなる〉が、私の座右の銘です。
他人を変えるのは難しいけど、自分のことは自分次第。
緊張する場面、気合いが必要な日、締切が迫っているのに全然書けない!という時など、何かあったら唱える魔法の呪文です。

 

現在、エンマリさんは4冊の本を出版されています。
春の気配がしてきた昼間、喫茶店で最新作の「な〜る な〜る な〜る なんとかなる なるようになる なんとでもなる」を読んで、その19歳のトークイベントを振り返っていたのでした。

遠藤麻理 『な~るな~るな~る なんとかなる なるようになる なんとでも』 新潟日報事業社 (2023)

エンマリさんのような〈らしさ〉のある自然体な人になりたいと惹かれたあの日、〈お話しする〉場面で、精一杯返した言葉は「そうですね」でした。
ただの相槌でさえも当時は考えないと無理で……。うわぁ。書けば書くほど、エンマリさんやその場にいた皆さまへの申し訳なさが募ります。

頭で考えて、言葉にするまでに、ものすごく時間がかかりました。
あのな〜がい間を見守っていてくださった皆さまには、「やっとこさ、あれ、なんとかなってきたよ」と伝えたいです。

 

「な〜る な〜る な〜る」では、のんちゃん(佐藤乃々子)の卒業公演のことにも触れていただきました。嬉しかったです。ちょうど1年が経つのですね。
1年前、〈ため息禁止令〉を出されていたダンスレッスンが懐かしく感じるくらいには、3人の空気が馴染んで、笑顔のある今を走っています。