メンバー3人の卒業とグループの活動休止を発表したRYUTist。2024年12月1日(日)のラストライブに向け、公演や練習、媒体への出演などで忙しい毎日を送っているようです。そんなRYUTistの宇野友恵さんが本について綴る連載〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉。今回は日常の〈細部〉にまつわる梶谷いこさんのエッセイ集「細部に宿る」から、RYUTistの細部に宿るものへ思いを馳せました。 *Mikiki編集部
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卒業ライブまであと少し。
いよいよラストスパートに入り、毎週新潟と東京を行ったり来たり。
東京には日帰りでライブをしに行って、新潟に帰ってきたらライブの他に今までお世話になった新潟のテレビや雑誌、ラジオ等にも出演させていただいています。
ひとつ終えたらすぐに次があるので、息つく暇も無いですが、それはそれで寂しさに心を支配されすぎなくて良いのかもしれません。
卒業前にたくさんの方に会ってありがとうを伝える機会があるのは、幸せなこと。ご褒美のように感じています。
〈RYUTist宇野友恵の「好き」よ、ファルセットで届け!〉第38回目。
今回ご紹介するのは梶谷いこさんの「細部に宿る」です。
〈日常の「細部」にまつわるエッセイ19編〉。
今年の夏は、終始ソワソワして、まだ発表前の〈卒業〉の2文字を胸にしまって過ごすことには苦労しました。この本はその時にタイトルに惹かれて決めた一冊だったけれどちゃんと読めていなかったことを心残りに感じていたので、今回、新潟から東京へ向かう移動の車内で、RYUTistの日常の〈細部〉にはどんなことがあっただろうと、ふと考えながら読んでみました。
梶谷さんご夫婦の日常のエピソードや梶谷さんが経験したコロナ後遺症からの回復とその後の生活。
「細部に宿る」では、注意しなければ忘れてしまいそうな何気ない会話もこぼさず丁寧に綴られています。
私は記憶力にはあまり自信がない。
でも、RYUTistの13年間をひとつずつ振り返れば、たくさんのシーンが目に浮かんできます。
RYUTistといえばライブです。
これまでオリジナル・カバー合わせて200曲近いレパートリーをやってきました。
先日、新潟のテレビ番組「新潟一番」の生放送に出演させていただいた際、特別に用意していただいたVTRでデビュー時の自分を見つけました。
ダンス未経験でアイドルになった私はステップもターンもできず絶望的。
その懐かしい映像では、上半身しか映っていないのにリズム感皆無だったのが明らかで笑わずにはいられない。
当時のダンスの先生が美しい姿勢や綺麗に見える指先の形など、一から徹底的に指導してくださいました。
〈ひとつひとつのステージを大切に〉をモットーとし、毎週行うライブに向けて、メンバーと毎日学校終わりにスタジオに集まって、ひたすら練習に励み、ライブでひとつ間違えたら、みんなでこの世の終わりかのように反省して、さらに練習を重ねていく。
腕の角度や手を伸ばす速度まで揃え、ちょっとやりすぎなくらいストイックに頑張っていた時期を経て、7周年を迎えた頃、それまでのダンスを少しずつ崩していくようになりました。
それはそれで真面目さが邪魔をして思うように個性を出しきれず葛藤の日々を送っていたけれど、ダンスの楽しさを知り、最近では一人一人パフォーマンスに余裕が出てきて自由度が増したように感じます。
そうやって時間をかけて変化しながら、RYUTistのライブが作りあげられてきました。