新たなステージへ着々と歩を進めているRYUTistの3人。衝撃のシングル“君の胸に、Gunshot”に続いて、曽我部恵一さん(サニーデイ・サービス)作の新曲“春風烈歌”をリリース、ミュージックビデオも公開しました。〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉は、RYUTistの宇野友恵さんが本にまつわるあれこれを執筆する連載です。第31回は、友恵さんからあるカミングアウト(?)が……。 *Mikiki編集部

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2020年7月10日。
真新しいキャリーバックから恐る恐るといった感じで前足を一歩、また一歩と出てきた真っ白な子猫は、部屋を見渡し、私の顔を確認する。
茶トラの方はなかなか出てこなかった。目が合えば「シャーッ」と威嚇した。

二匹の保護猫を飼っています。
農家の納屋に母親がいない状態で見つかった子猫たちを父の知り合いから譲り受けました。当時、私はまだ飼い主として未熟でした。お迎えするまでの用意は周到にしていたつもりではありましたが、いざ動く猫たちと対面してみると、一匹はものすごい速さでゲージ内を上に下にすばやく動きまわるし、もう一匹は一歩も出てこないし、猫はストレスに弱いと聞いたので、どう接したら正解なのか不安で、何かあればすぐにスマホで検索していました。

ちっちゃ〜いふわふわの二匹は可愛くて可愛くて仕方なかった。はやく自分のものにしたい、家族の中でも一番に懐いてほしいという欲望の塊が必死に頭の中で走り回っていました。

 

〈子猫 初日 隠れる〉〈猫 嫌われないようにするには〉などと何度も検索した先には、どの記事にも〈構いすぎないことが一番〉と書かれていて、そんなのできるかー!と内心騒ぎつつ、スンと気にしないフリをして、とにかくご飯やお水の準備、トイレのお掃除に集中し、ときどきチラッと横目で猫の様子を確認して過ごしました。

ずいぶん長い間、嫌われないように葛藤していたようでしたが、3日後には子猫に触れて、一緒に遊ぶことも許される関係になれました。
子猫のほうから添い寝してくれるようになった時にはあまりのゴロゴロ音のボリュームの大きさと鼓動の早さに驚いて、大丈夫か!?とまた検索するのでした。

こんな調子で次から次へと心配事が耐えない頼りない飼い主でした。

 

猫を飼い始めた頃はコロナ禍真っ只中。
2020年7月14日にはRYUTistのアルバム『ファルセット』をリリースしました。
その際、有観客のリリースイベントなどができなかったため、同時視聴会という同じタイミングでアルバムを再生してX(旧Twitter)上で感想をツイートし合う会を開催した日のことを思い出します。

『ファルセット』の音源を流して、ツイートをしはじめると、子猫たちの大運動会も開幕。
猫って身体を伸ばしたり縮めたりしながら器用に動きますよね。最初はその柔軟さと俊敏さについていけなかったです。ぎっしり詰まった本棚の隙間を抜って遊ぶ姿にはびっくり。
猫たちが噛まないように本棚の後ろにまとめておいたコード類をチェックしていたら、前の方でビリッと音がして、本の背表紙に縦に爪痕が入っていました。悲しむ間もなく、今度はお茶がこぼれて、唖然。こちらのことなど気にせず、またドタバタと追いかけっこをはじめます。
やっと落ち着いてツイートできたところで、上の方から鳴き声が聞こえる。いつの間にか2m程のクローゼットの上まで登って、自分で降りられなくなってしまったようです。大変大変。愛おしくて、目が離せません。