2024年6月12日(水)に柴田聡子さんが作詞・作曲した新曲“WOOT!”をリリースし、7月28日(日)にNIIGATA LOTSで単独公演〈RYUTist 13th Anniversary Live〉を開催することを発表したRYUTist。ワクワク感を振りまく3人ですが、メンバーの宇野友恵さんが本について綴っているのがこの連載〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉です。第34回は、くどうれいんさんのエッセイ「コーヒーにミルクを入れるような愛」から自身のコンプレックス、そして新しく得た小さな喜びに思いを馳せました。 *Mikiki編集部

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身長148cmのキッズ体型、指輪のサイズはピンキーリング。
自慢でもなんでもなく、コンプレックスです。

服のサイズがなくて着たい服を気軽に買えないこと、体重が足りなくて献血にも貢献できないこと、満員電車や見に行ったライブで人の中に埋もれて視界が狭くなること。
もっと背が高く、逞しい身体に育ちたかった。

 

休日、楽しみにしていた、くどうれいんさんのエッセイ「コーヒーにミルクを入れるような愛」を読んでいました。

くどうれいん 『コーヒーにミルクを入れるような愛』 講談社(2024)

くどうれいんさんは岩手県出身で、短歌や俳句、小説、エッセイ、絵本など、作家としては幅広く活躍されています。
昨年、「桃を煮るひと」という食エッセイで知り、また私も寄稿させていただいた柴田聡子さんの特集「ユリイカ 2024年3月号」でも短歌を書かれているという、さとねえファンの共通点もうれしく、最近気になっている作家さんの一人です。

 

〈いやな手〉というタイトルの章は、ざっくり要約すると、自分の手が嫌いで、写真を撮る時はピースをせずに隠しているという内容のもの。
手に関して、自分のしょぼくてちんちくりんな爪もコンプレックスの一つだったので前のめりで読みました。

ふとページを捲る自分の手を見る。
淡いピンクに施された指先。親指だけ小さなお花がひとつ咲いている。シンプルだけど、春が終わってほしくないという寂しさを閉じ込め、流れゆく季節への小さな抗いがテーマのデザインです。やっぱりプロにやってもらうといいなぁ。

 

「爪、似合わないよ。無理してる感じがするからやめたほうがいい。」
数年前、初めてセルフネイルをした時のことです。
言われた瞬間、あー私にはだめなのかーと、心が折れてしまった。

グレーとパープルの間のくすみ系の色をしたポリッシュを何度も塗り直して、ムラなくきれいに塗れたと心が弾んでいたけど、うん、そっか。田舎者の私がネイルをしていても違和感にしかならないのかもしれない。
それに、私の小さな爪では塗りがいがないし! 塗らなければ剥がれたり崩れたりしてしまったときの絶望感を味わわなくていいし! インスタのおすすめに出てくる可愛いネイルをした女の子たちにはなれっこないから、でしゃばるな〜と言い聞かせるようになりました。
ライブのときだけその日の衣装に合わせて爪に色を塗ったり、冷たい言葉を思い出してやっぱり塗らなかったりを繰り返していました。

 

でも、無関心を貫くことはできなかった。
先日、25歳になって、最初に行った場所は、ネイルサロンでした。
誕生日ということで気の緩んだアラサー1年生の、記念に1回お試しチャレンジのつもりだったのに、もう3回通っています。

マグネットやらオーロラやらどれがどれだかまだよくわかってないけど、インスタを参考にしてネイリストさんにオーダーし、爪がどんどんキラキラしていく。
すごいと思った。

ちょっとやそっとのことで剥がれたり崩れたりしないネイルだ。
ちんちくりんで脆かった元の爪はどこへやら、強く逞しくなっている。

そしてこれが一番すごいことなのだが、爪が可愛いだけで、ごきげんでいられる日が増えたのだ。ふと下を向いてしまった時も、手元を見れば少しHPが回復する。
知らなかったよ、全国のみなさん。私、今、爪が可愛くてハッピーでーす!