2024年7月28日にライブ〈RYUTist 13th Anniversary Live @ NIIGATA LOTS〉を盛況のなか終えたRYUTist。そのRYUTistの宇野友恵さんが本について綴っているのが、連載〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉です。第36回で取り上げるのは、稲田俊輔さんの著書「食いしん坊のお悩み相談」。新潟のグルメを発信していることでも知られる友恵さんですが、その裏には人知れず悩みがあったようで……。 *Mikiki編集部

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お腹空いたなぁと思って蝉の抜け殻のようになった身体を起こしてリビングに向かう。
RYUTistになって14年目。
大きなライブの次の日はだいたいこんな感じです。

先日、13周年ライブが終わって、読みたかった本を開きました。

〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉第36回は稲田俊輔さんの「食いしん坊のお悩み相談」をご紹介します。

稲田俊輔 『食いしん坊のお悩み相談』 リトルモア(2023)

 

稲田さんは料理人・飲食店プロデューサーで、食べ物にまつわるエッセイや小説の執筆など文筆家としても活躍されています。
食べることが好きすぎる〈フードサイコパス〉だと自ら名乗るほど。

この本は、そんな稲田さんに寄せられた食べものに関しての質問や相談に回答し一冊にまとめたものです。

〈パスタの具が余る〉という食べ方の相談から、〈弁当の下の白いスパゲティ〉の存在についての疑問、料理のお悩み、日々の食への向き合い方など、内容は食べ物に関すること全般。

食べ物への理解を深められるだけでなく、質問に対して、さまざまな角度から熟考し、その上で自分の結論を出す。まさに理想的な答え方をされていて、参考になります。

 

突然ですが、〈好きな食べ物は?〉と聞かれたとき、皆さんはどう答えていますか。

〈カレーです!〉と不動の1位が決まっている人。
〈お母さんのオムライス〉といった思い出の料理を教えてくれる人。
その日の気分やよく食べているものを素直に伝える人。
またタレントの方に多かったりしますが、自分のイメージを伝えるための戦略の一つとして予め決めている人もいるでしょう。

その場の空気作りや自己紹介で使われることが多いこの質問ですが、私はすぐに答えられません。

とんかつ? ハンバーグ? うどん?
昔なんて答えてたっけ? あ! タレカツ丼(新潟の名物)か。うーん捨て難いな。

物事を決断する力がどんどん鈍っている。
〈もっといい答えがあるはずだ〉なんて、まごまごと迷っている間に話題は飛んで、周りはもう先に進んでいたりします。

 

本を読みながら、昨年、あほほどお店を巡っていた日々を思い出していました。
最近はそこまで外食をしていません。

地元新潟を中心にいろんな美味しいお店を見つけることが好きで、Instagramに投稿していたのですが、昨年からその頻度が上がり、好きで始めたことだったのに毎日毎日お店を選ぶことに疲れてしまいました。
お店を選ぶこと、決めることが〈やらなければいけないこと〉に変わっている、食べることを楽しめなくなっていると自覚したのです。

そう分かっていながら続けていたのは、私の投稿を楽しみにしてくださっている方や全く罪のないお店の方々に後ろめたい気持ちがあったからです。
アイドルとしてSNSをやる上で、少なからず影響を与える立場にあることを知り、始めたりやめたり続けたりすることに対して、もっと慎重になるべきだったのではないかと今は思います。

決断は早いほうがいいという以前の考え方から、迷っていていいなら時間の許す限り迷っていたいと心が変化していきました。
どちらがいいかは時と場合によりけりですが……。

とにかく〈決定する〉〈結論を出す〉ということが、今、自分にとって一番苦手なことなのです。

今まで、やりたいことに真っ直ぐ! 即行動!が絶対的にいいことだと信じてきたけれど、どっちと決めない曖昧な場所で揺らいでいるのも悪くないのかもしれないと気づいたのは、一つの成長なのかもしれません。

そんな中で、稲田さんの結論の出し方は勉強になりました。