噂のラスト・アルバム。先行発表したポリティカルで重厚な“Above The Law”やマイケル・ブルーム曲をフィリー・ダンサー調にした“I Got You”が示唆していたように、ベティ・ライトやスティーヴ・グリーンバーグらを制作陣に招いた内容は黄金期の雰囲気を呼び起こすセルフ・オマージュ的な性格が強い。ブルーノ・マーズやフィリップ・ローレンスらが献上した“Enjoy Yourself”、オクターヴ奏法のギターが爽やかなモダン・ステッパー“'68 Summer Nights”など70sなグルーヴの生楽器による再現は見事で、エディ・リヴァートとウォルター・ウィリアムスの歌も引退が惜しまれるほど伸びやかで力強い。67年ヒット“I'll Be Sweeter Tomorrow(Than I Was Today)”の再演で迎えるラストには感涙。有終の美を飾る傑作だ。