国内のアンダーグラウンドなダンス・ミュージックのシーンで、ディープなミュージック・ラヴァーやハード・ディガーたちからの厚い信頼を集めているDJ CHIDA。DJとしての活動は92年あたりからということですが、地下の最新トレンドを横目に見つつ、圧倒的な知識量に支えられたオリジナリティーの高いセットで攻め続けるスタイルは、紛れもなく現役のトップランカー。いわゆる〈ヴェテラン感〉のような雰囲気に付随する保守性とは無縁なCHIDAさんが僕も大好きで、特に近年はバレアリックなフィーリングを現代的な解釈で鳴らすプレイにお世話になったことも多々ありました。
そんなCHIDAさんの審美眼をもって2012年にローンチされたeneは、PSYCHOGEM、SLY MONGOOSE、チアゴ、9dw、THE BACKWOODS、ロード・オブ・ジ・アイルズといった国内外の〈わかってる〉人選のアナログをリリースしてきたレーベル。昨年にはカルト的な人気を誇るCOS/MES、イタロ・ディスコ界の重鎮であるベッペ・ローダとマッシュルーム・プロジェクト、そして現代バレアリック最高峰レーベルのひとつ、イズ・ディス・バレアリック?を主宰するコヨーテという強力すぎるラインナップの12インチを3タイトルまとめてリリースしたことでも話題を集めました。
やっと本題。そんなeneから新作12インチが2タイトル届くんです。まずはポルトガルのルイ・ムルカ(でいいのかな?)の『Amigos EP』。これ、A面のチアゴによるリミックスがとりわけ極上。躍動感溢れるパーカッションを敷いた少し早めなBPMのハウス・ビートは鉄板として、穏やかな水面のようなエコーを湛えたちょいジャジーなギター・ソロのフェザー・タッチたるや……これには耳を奪われました。
もうひとつ、ジェイミー・ブランコとクリス・ストーカーから成るUKのデュオ、エス・オー・エス(ESS O ESS)の『Re-Enter EP』はよりフロア・フレンドリーな一枚。バレアリックなムードにアシッド・テイストを溶かし込んだオリジナル・ヴァージョンもフランジャーのうねりに持ってかれそうな好トラックですが、シンセのアルペジオがバキっと増強されたマン・パワー(この人?プロジェクト?もヤバい!)のリビルドは強烈。パーティー・アニマルたちが踊り狂うさまが目に浮かぶぜ……。
発売は2枚とも8月ころの予定。瞬殺の可能性もあるし予約しとこうかな。