イタリアのレディ・マエストロ、プッチーニで登場!
イタリア・オペラの代名詞のような存在、ジャコモ・プッチーニの「管弦楽曲集」でCDデビューを果たすベアトリーチェ・ヴェネツィは、プッチーニの生地ルッカの出身。1990年に当地で生まれ、最初はピアノを習っていたが、やがてミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で指揮を学び、2017年よりイタリア/プッチーニ音楽祭首席客演指揮者を務めている。
「女性が指揮者になるのは簡単なことではありません。私はピアノから音楽の道に入り、より幅広い音楽を演奏したいと願って指揮者の勉強をしました。国際コンクールを受け、やがてオペラを指揮することができるようになりましたが、常にオーケストラとのコミュニケーションに多大な努力を強いられます。でも、常にプッチーニの作品が私の後押しをしてくれ、彼の音楽が道しるべとなっています。ですから、デビューCDはぜひプッチーニを入れたかったのです」
ヴェネツィは男性の指揮者に対抗するのではなく、あくまでも自分の道を切り開きたいと考え、ステージ衣裳はタキシードやスーツではなくドレスを着用。女性がリーダーには向いていないと思われていることを覆すよう、音楽そのもので勝負する。
「これまでさまざまなオーケストラと一緒に仕事をしてきましたが、もっとも大切なのは最初のリハーサルです。そこでオーケストラの気持ちをつかみ、自分がやりたいことを伝え、ともにいい音楽が生まれるようにもっていかないとあとはありません。とても緊張し、感情的な高まりを伴いますが、これが指揮者の使命。プッチーニのオペラは主人公の女性が作品を通してどんどん成長していく。男性はあまり変わらないですね(笑)。そういう女性の生き方を音楽で表現したのがプッチーニであり、イタリア・オペラのあらゆる手法、感情、表現を含んでいます。とても現代的であり、いつまでも色褪せないのも特徴です。今回の録音には、あまり演奏される機会のない“スケルツォ”を収録しました。これはプッチーニ・センターが編集し直したもので、初めての録音となります。オーケストラ・デッラ・トスカーナとのレコーディングは、私がキャリアの最初のころに出会ったオーケストラですので再会を喜び、ともに成長した演奏を存分に発揮することができました。“マノン・レスコー”や“マダム・バタフライ”など私の大好きな曲を選んでいます」
ヴェネツィは自分と同世代の若い聴衆にクラシックを聴いてほしいと切望。「クラシックは堅苦しくて古臭い音楽じゃない。カッコいいのよ」と自身の指揮で伝えたいと。「そのためにはいろんなメディアに出たり、講演もする。自分にできることは何でもするわよ!」