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それぞれのステージを振り返ろう。まず1stステージから。オープナーは〈birdの代表曲と言えば、これ!〉……“SOULS”(99年)だ。『bird 20th Anniversary BEST』のリリース・タイミングでインタヴューした際、「“SOULS”を歌うと、みなさんが一緒に歌ってくださるので、20年前の曲ですけど、ずっと生きつづけているなって感じるんです。それに歌っても歌っても先があるというか、どんどん違う姿を見せてくれる曲でもあるんですよ」と話していたが、この日もbirdはそのことを実感しながら歌っているように自分には感じられた。

続く2曲目は“甘く甘くささやいて”。デビュー・シングル“SOULS”のカップリングに収められていた曲だが、これまでのどのアルバムにも収録されておらず、配信もされていないメロウR&Bだ(多和田えみが2009年のミニ・アルバム『Sweet Soul Love』でカヴァーしていたっけ)。言うなればレア曲だが、birdはこのデビュー・シングルからキャリアが始まったという意味を込めて、“SOULS”と続けて歌いたかったのだろう。こういうネオソウル的なテンポ感を持った曲を歌うbirdは実にいい。間奏の渡辺貴浩の鍵盤音がロバート・グラスパーっぽかった。

先に紹介したMCを挿み、3曲目“空の瞳”のイントロが鳴り出すと、「お~っ!」と声に出して反応する観客が何人かいた。“SOULS”と同じ99年発表の4枚目のシングル曲で、立ってカラダを揺らしたくなるグルーヴあり。樋口直彦のカッティングがファンキーで気持ちよく、birdとMegとHanah Springは揃いのダンスをしながら歌う。サビの「か~ぎ~りなく両手をひろっげって~」のところで手を挙げて横にふる観客もいた。続く4曲目も初期のナンバー“雨の優しさを”(99年のファースト・アルバム『bird』収録)で、birdの歌と共にふたりのコーラスが雨の日の情景を表わしてもいるようだった。

ここまでの4曲はデビューした99年に発表された曲だったが、5曲目は2004年のシングルで、KIRINJI・堀込高樹作曲による“髪をほどいて”。ライヴで歌ってほしいとリクエストされることの多い曲だと以前話していたが、実際聴く度に〈本当にいい曲だなぁ〉としみじみ思う。バラードが続き、6曲目は2015年のアルバム『Lush』収録の“明日の兆し”。4月の〈bird“波形”Live!〉のアンコールで歌われた曲でもあり、これまでとここからの思いが丁寧な歌唱から感じ取れた。