20年――インディペンデントな活動を貫くバンドとして、ここまでのキャリアを順調に、かつ大きな影響力を保ちながら積み上げてきたバンドはそうそう存在しないだろう。その名の由来となったタランティーノの映画のようにユニークで、マニアックながらもエンターテイメント性とパッションに溢れた彼らの歴史は、まだまだひとつの通過点に過ぎない。
今年、結成20周年を迎えたthe band apart(以下バンアパ)。その名をクエンティン・タランティーノの映画製作プロダクション〈ア・バンド・アパート〉に由来するバンドの歴史を遡ると、98年に荒井岳史(ヴォーカル/ギター)、川崎亘一(ギター)、原昌和(ベース)、木暮栄一(ドラムス)のメンバー4人で結成され、今日まで不動のラインナップを貫いている。20年ともなれば、一度や二度、メンバーチェンジを経験するバンドも少なくないので、これは本当にすごいことだと思う。彼らは2001年10月にファースト・シングル“FOOL PROOF”でデビューを飾った。ライヴハウス界隈でも、当時はまだ知る人ぞ知るバンドではあったが、パンク、メタル、フュージョン、ソウル、ジャズ、ボサノヴァなど広範囲に及ぶジャンルを自らのフィルターに通して、前例が見当たらない独自のロック・サウンドを構築していた彼らの音楽は、リアルタイムで触れたときにかなりの衝撃を受けたものだ。
2000年代初頭のインディーズ・シーンと言えば、90年代にHi-STANDARDが作り上げたメロディック・パンク・ムーヴメントに多大な影響を受けたバンドたちが群雄割拠していた時期である。英語詞を歌い上げる3ピースのメロコア・バンドがとにかくライヴハウスには溢れていた。バンアパも例に漏れず、Hi-STANDARD並びにHi-STANDARDが中心となって催されたイヴェントに由来する〈AIR JAM世代〉と呼ばれたバンドたちによって作られたシーンの空気を吸っている。ゆえに〈英語詞で歌うことが当たり前〉というシーンのムードに倣い、バンアパも英語で歌っていたし、対バンするバンドもメロコア系バンドが多かった。ただ、英語詞という共通点こそあれど、バンアパは他のバンドとは異なるニュアンスの音楽性を聴かせていたので、完全にシーンからは浮いた存在であった。そんなこともあって周囲のバンドマンからは一目置かれていたし、ジャンル云々の壁を飛び越え、バンアパは楽曲の力でファンやリスナーを獲得していく。〈バンアパはバンアパというジャンルを鳴らしてる〉という認識は、デビュー時から現在においてもさほど変わらない。おそらく、本人たちは自分たちが純粋にかっこいいと思う音楽を鳴らしているだけだろう。あるいは、それが音楽をやるうえでのあるべき姿というスタンスをメンバー4人がちゃんと共有しているからこそ、一度もメンバーチェンジせずにここまで来れたのかもしれない。メンバーもよく〈ただの友達だから〉と口にしていたが、それがバンドの空気にも直結し、音楽的にも強い絆を生み出している要因だと言えるだろう。

トライの繰り返しから生まれたユニークな音楽性
2002年5月のセカンド・シングル“Eric.W”を挿んで、2003年9月にはファースト・アルバム『K.AND HIS BIKE』を発表。現在のようにソーシャル・メディアが発達していなかった時代ではあったが、そのクォリティーの高さは口コミのレヴェルで評判を呼び、ライヴハウス界隈で彼らの人気は徐々に高まっていく。その後、メンバーみずから運営するレーベル〈asian gothic label〉を立ち上げ、また、バンド主催によるライヴ企画〈Smooth Like Butter〉が毎回大好評を博し、さらに活動の基盤を固めていった。2005年にはセカンド・アルバム『quake and brook』を発表し、さらにヴァラエティーに富む楽曲で度肝を抜く。なかでもメンバーが仮タイトルで〈ゴダイゴ〉と呼んでいた“real man's back”は、かのバンドのヒット曲“モンキー・マジック”を我流に昇華したサウンドで、その着眼点のユニークさにも思わず唸ってしまう。もっと言えば、ロック的なアプローチを使わずに、ロックな楽曲に仕上げてしまうのが彼らのすごさだと思う。当時の取材で原は「リチャード・クレーダーマンを聴きながら、ここからどうやって自分の好きなロックの要素を見つけようかという聴き方をしていた」と発言していたことがある。非ロック的なインスピレーション元から、いかに自分たちなりのロックを編み上げていくのか。その発想が他のバンドとは一線を画すオリジナリティーを生み出していたということも言えるだろう。
2006年には、レーベルメイトであり、海を越えて音楽的に共鳴し合っていたインディアナ出身のバンド、モック・オレンジとのスプリット作『Daniel e.p.』を発表。お互いのカヴァーも収録するなどおもしろい試みでファンを楽しませてくれた。同年にはサード・アルバム『alfred and cavity』を完成。この作品ではクリーン・トーンのギターが多用されていて、クリーンな音色でいかにヘヴィーに聴かせるか、を試みている。それも自分たちらしい音を探求し続ける過程において、バンアパには避けては通れない道だったのだろう。人と同じことをやってもしょうがない。いや、それさえもバンド内で嬉々として楽しんでいるような印象さえ受けてしまう。加えて、メンバー4人の音色も1曲の中で有機的に結び付き、流れるようなアンサンブルも研磨され、楽曲のポピュラリティーもグッと底上げされていた。作品ごとに成長と進化を刻み付ける彼らだが、ますます唯一無二のスタイルを強固なものにしていった。

劇的ながらもさりげなく変化を見せていく音楽性
2008年5月に4枚目のアルバム『Adze of penguin』、2011年3月に5枚目の『Scent of August』と作品を重ね、地に足を着けてマイペースな活動を続けていったバンアパだが、『Scent of August』のリリース直後に東日本大震災が起き、彼らだけでなく多くのバンドやアーティストが〈音楽をやる意味とは?〉という根本的な命題に直面せざるを得ない状況が生まれた。これまでの音楽性でいいのだろうか?と自問自答する人たちもいれば、音楽で何ができるのかと真剣に考える人たちも……。その流れの一例として、バンド界隈では、電気を使わずに表現できる弾き語りによるアコースティック・ライヴをやる人たちが増え、荒井も先輩に誘われたのをきっかけに、バンドの動きとは別にソロで弾き語りのツアーを行うようになった。被災した東北地方にも出かけたが、そこで英語よりも日本語のほうが圧倒的に伝わることを肌で感じた荒井は、バンアパの楽曲を日本語ヴァージョンに替えて歌うなど、日本語詞のおもしろさや可能性に気付いたという。そういった経験を踏まえ、2012年の『2012 e.p.』では全曲日本語詞にチャレンジした。従来の英語詞を貫いていた音楽性から考えると、劇的な変化と言えるのだが、それも違和感なくスッと聴けてしまうのがバンアパのマジックとでも言うべきだろう。言い方は極端かもしれないが、英語だろうと、日本語だろうと、スペイン語だろうと、ポルトガル語だろうと、彼らがやればバンアパの音楽になってしまう、とでもいうか。荒井のクセのないソウルフルな歌声には、何でも取り込んでしまう器の大きさがあり、歌詞を日本語にしたことで、図らずもそれが浮き彫りになったと言えなくもない。
自由奔放でありながら揺るぎない世界観
続いて2013年に出た6枚目のアルバム『街の14景』では初の日本語タイトルを冠していることからもわかる通り、全曲日本語詞で統一された楽曲を収録。この頃になると、ライヴの雰囲気もイイ意味でくだけ、ステージ上でのメンバー間の会話も増えたりと、さらに外に開けたパフォーマンスを見せるようになった。そんなバンド内のムードを如実に作品へと反映させたのが2014年に出た『BONGO e.p.』だろう。ここにはメンバー4人それぞれが自身で作詞作曲を手掛けた楽曲が4曲収められている。日本語で綴られた歌詞からはメンバーひとりひとりのキャラが明確に表れるようになり、英語詞時代には絶対に味わうことができなかったスパイスがそこに加わった。言葉のチョイスもメンバーそれぞれで違うわけで、そこで押しの強い言葉が出てきても、荒井の歌声はいい意味でフラットに聴かせてくれるので、耳にすんなり入るのに心に深く残る、という新たなマジックを得ることになる。バンドのおもしろさを痛感するその作風で、またもやファンをアッと驚かせたのだった。ついでに言うと、タイトルで〈BONGO〉と堂々と謳っているにもかかわらず、音源ではボンゴではなくコンゴを全曲に導入している。こうした人を食ったような表現も実にバンアパらしい。
バンドの本流と並行して、the band apart(naked)名義によるアコースティック編成のライヴや作品も発表したりと、ますますフレキシブルな活動に邁進していったバンアパ。基本はバンアパの持ち曲をアコースティック・セットで聴かせるというものだが、メンバー自身は〈別のバンド〉をやっているという感覚が強いようだ。たしかに、聴き慣れている楽曲もまた新鮮に響いてくるし、初めて楽曲に触れた人をも納得させる完成度の高さを見せつけている。改めてこうしてバンドの歴史を振り返ると、デビュー時から独自の音楽性を掲げながらも、作品とライヴを重なるなかでどんどんタブーがなくなり、守りに入るどころか、ガンガン自分たちらしさを突き詰めていく攻めの姿勢で音楽に取り組んでいるのがよくわかる。今年結成20周年という大きな節目を迎え、これからもさらに自由奔放に音を鳴らして欲しいと期待せずにはいられない。バンアパは日本の音楽シーンにおいて、比較対象のいないオンリーワンのバンドだと、つくづく思う。 *荒金良介
荒井岳史のソロ作品を紹介。
the band apart(naked)の作品を紹介。
DISCOGRAPHIC the band apart
the band apartを知るための8枚
記念すべき初フル・アルバム。ライヴ・バンドの屈強さがありつつ、英詞による爽やかなメロディーや躍動するリズム、ファンク~ボッサ風味を絶妙にねじれながら展開させ、単にエモコアと括れない、熱く清々しいサウンドで聴き手を圧倒した。代表曲“Eric.W”“FUEL”を収録。 *田山
グルーヴィーなバンドのなかでも、一歩抜きん出る存在感を示し始めたバンアパ。このセカンドでは、オリエンタルなギターが光る“coral reef”“real man's back”、速弾き炸裂の“from resonance”など、華々しい音色を活かして独自のロックを突き詰めた。ノリの良いナンバー多し! *田山
ジャズ、ボサノヴァ、フュージョン、プログレ……ジャンルのクロスオーヴァーはますます自由に! 軽快なグルーヴ、懐かしさを覚える80'sレトロな音使いも顕著。遊び心あふれる姿勢で攻めつつ、絶妙のバランス感覚が微塵も失われていない。そのあたりにニヤりとしてしまう。 *田山
初のUSツアーを経ての4作目。トレードマークのカッティングと躍動感溢れるグルーヴはもはや職人芸の域へ。アコギの導入をはじめ、エフェクターやパーカッションなどで捻りを加えたり新機軸が眩しい。これまで以上に摩訶不思議な音が組み合わさり、重層的に聴こえてくる。 *田山
フォロワーを生み出すほどの存在になるも、そんな評価をよそになおも突き進む5作目。温かい歌メロの冒頭“photograph”から新味で、バンドのイメージを塗り替える気概に溢れている。パンクやエモの激しさで押すばかりではなく、音の連なりに陶酔できるアレンジが際立つ。 *田山
初の全曲日本語詞にトライ! 不要なこだわりをかなぐり捨て、歌詞もメンバー全員で書いたり、同じく意外にやってこなかったインスト・ナンバー“師走”もあったり。4人の個性が14の興味深い景色を見せてくれる6作目。“夜の向こうへ”なんか、本当にそんな場所へ行けそう。 *田山
“(save point A)”などスキットをちりばめながら、ゲームの世界に迷い込んだような感覚に誘う。トリップの途中、たびたび現実を思い起こさせる向きも。ポップなサウンドに乗せて、案外シリアスなことを歌っていたり。そんな倒錯性が楽しい7作目。引き続き、全編日本語詞で。 *田山
ここ数年の挑戦で得た成果をバランス良くまとめた8作目。日本語詞/英詞も混在させ、のびのびとした空気が漂う。ワウ・ギターも爽やかな“ZION TOWN”、グルーヴの応酬が凄まじい“Castaway”“BOOSTER”など冴えまくりで、バンアパがジャンルになったことを激しく実感! *田山
OTHERDISCOGRAPHIC
EP
RECOGNIZE ep(2004)
fadeouts(for JUSTICE)(2007)
the Surface ep(2010)
intoxication e.p.(2010)
detoxification e.p.(2011)
BONGO e.p.(2014)...and more!
the band apart / Mock Orange
Daniels e.p.(2006)
Daniels e.p. 2(2016)
the band apart naked
1(2016)
Paper Planes e.p.(2017)
2(2017)
BACKGROUND OF THE ABOUT MUSIC
the band apartが消化、吸収してきた音楽
the band apartが世の中に知られるようになった2000年代前半ごろ、彼らの音楽性に対してよく言われていたことが〈フュージョンからの影響〉。当時の新進バンドにあまり見られなかった音楽性は、カシオペアなどがルーツではないだろうか、と探られた。また、巧妙な展開はプログレを思わせるところもあり、キング・クリムゾンやイエスなどをヒントに、彼らの音楽性が解析されたこともあった。その一方で、彼らはメタル・バンドのコピーをやっていた時期もある。彼らの高い演奏技術は、メタリカなどの影響も大きいかも知れない。
彼らは世代的に、Hi-STANDARDに衝撃を受けて育ったバンドでもある。初期の歌詞が英詞のみだったところには、その影響が表れていると言っていいだろう。当時はHAWAIIAN6など、メロディック・パンクのバンドと対バンする機会も多かったし、いまもそういったシーンとの関係性は深い。のなかでも、テクニカルで先鋭的だったという意味では、先人であるREACHと結び付けて考えることもできる。同世代では、共にイヴェント〈mellow fellow〉も主催していたDOPING PANDAの名前を挙げておきたい。
歴史を重ねていくうちに、英詞だけだった歌詞に日本語詞が採り入れられ、活動の形態も多岐におよぶようになって、ますますさまざまなルーツを採り入れだした彼ら。ソウルフルな歌声が持ち味であるヴォーカルの荒井は、ソロ・アルバムをリリースしたタイミングで、サザンオールスターズなどJ-Popの先人からの影響を公言している。また、アコースティックで活動するthe band apart(naked)名義でリリースしたアルバムでは、シュガー・ベイブの“DOWN TOWN”のカヴァーも印象的だった(ただし、この曲でのメイン・ヴォーカルはベースの原。彼もまた美声!)。さらに、ドラマーの木暮のルーツにはヒップホップが根強くあり、ビースティ・ボーイズなどの名前がインタヴューで出てきたこともあった。また木暮は、the band apart(naked)のレコーディングの際、現代ジャズの旗手であるロバート・グラスパー・エクスペリメントの一員であったデリック・ホッジのアルバムの音質を参考にしたと語っている。
すべてをオリジナルに消化しているため、ルーツがダイレクトに聴こえるものは多くはないが、探っていくと本当にさまざまなジャンルの入り口が隠れているthe band apartの音楽。だからこそ、結成20周年を迎えたいまも、彼らに興味は尽きない。 *高橋
文中に登場したアーティストの作品を紹介。

tribute to the band apart
耳で聴いたピープル・トゥリー
the band apartをめぐる音楽の果実は、『tribute to the band apart』で一本のトゥリーを生んだ

1. cinema staff
2015年に対バンを行うなど、先輩を慕うcinema staff。ヴォーカルの飯田瑞規が音楽を始めるきっかけとなったバンドであり、今回のトリビュート盤では彼が最初に手にしたという2001年の“fool proof”をピックアップ。バンアパのなかでも激しくエモーショナルな原曲からその根底に流れる爽やかなポップ感覚を抽出し、熱くドライヴ感溢れるアレンジへと昇華。バンアパ愛を謳歌している。 *小野田

2. KEYTALK
小野武正と八木優樹は高校時代にバンアパに衝撃を受け、そのコピーや影響下にある楽曲をプレイしていたというだけあって、バンアパは現在の彼らを形作した大きなルーツのひとつと言えるだろう。そんな彼らがカヴァーしたのは、ファースト・アルバム『K.AND HIS BIKE』に収録されている“Snowscape”。タイトかつソリッドにスタートし、グルーヴィーなパートも聴かせるという、KEYTALKらしいアレンジだ。 *土屋

3. FRONTIER BACKYARD
古くから親交があり、対バンした機会は数知れず。さらにはFRONTIER BACKYARDの“Backyard Sessions”シリーズでも共演を果たしている両者は盟友の間柄だ。今回のトリビュートではドライなギター・サウンドが心地良い『RECOGNIZE ep』(2004年)初出の“higher”をシンセとピアノ主体のアレンジへと大胆に置き換えている。じわじわ昂揚していくダンス・トラックへ塗り替えた鮮やかな手腕は、互いの信頼関係を考えると、より味わい深く響く。 *小野田

4. LOW IQ 01
バンアパが関わるバンド周辺の、近しい先輩ミュージシャンのひとり、LOW IQ 01。さまざまな音楽ジャンルをミックスし、クリエイトしていく彼の音楽スタイルは、バンアパと相通じるところあり。彼がカヴァーしているのは『alfred and cavity』収録の“beautiful vanity”。カリビアンなムードからスカに移行しキレのいいビートへなだれ込む、痛快なイッチャン節が炸裂! *土屋

5. ストレイテナー
バンド同士の親交はもちろんのこと、荒井岳史とホリエアツシがそれぞれ行っているソロ・ライヴでもたびたび共演。共に98年結成の同世代バンドであるが、2006年のアルバム『alfred and cavity』収録にして、ソウルフルかつエモーショナルなヴォーカルが強い印象を残す“Can't remember”にストレイテナーがファンクの躍動感を注入したことで、名曲は新たな輝きを放つに至っている。 *小野田

6. ゲスの極み乙女。
今回のトリビュート盤のラインナップのなかでは意外な印象を受けるかも知れない彼らだが、実は川谷絵音が大のバンアパ好きだということが発覚。ということで彼らが今回取り上げたのは、『Adze of penguin』に収録の“I love you Wasted Junks & Greens”。爽快な原曲を、切なく気怠く、そしてアタック感とサイケ感をミックスしてアウトプットしている。 *土屋

7. ASPARAGUS
バンアパ主催イヴェント〈Smooth Like Butter〉の拡大版として、先輩バンドであるASPARAGUSと共に行った2011年の日本武道館ライヴが印象深い両者。ASPARAGUSは2007年のシングル“fadeouts(for JUSTICE)”収録の“Moonlight Stepper”を取り上げ、練り上げられたリフとミッドテンポのグルーヴが際立つオリジナルに対し、ASPARAGUSヴァージョンはテンポを上げてギター・ワークとコーラスの爽快さが吹き抜けるアレンジに。 *小野田

8. 坂本真綾
原が坂本のファンだという話がきっかけで、バンアパにコラボを依頼。坂本の楽曲“Be mine!”“coming up”を2014年にバンアパが手掛け、翌年には、さいたまスーパーアリーナで行われた坂本の20周年記念ライヴにバンアパが出演するなど交流の続く両者。今回、坂本がカヴァーしたのは『街の14景』に収録の“明日を知らない”。シンプルな原曲が、ストリングスの入った繊細でいてドラマティックな楽曲へと大変身を遂げている。 *土屋

9. tricot
〈ポストAIR JAM〉のバンドとして、メロディック・パンクとジャズ、フュージョンを融合させたバンアパは、意識的にポスト・ロック的なスタンスを打ち出すことはなかった。しかし、近年何度か対バンしているtricotが今回『街の14景』(2013年)からピックアップした“泳ぐ針”のカヴァーは、緻密なアレンジと共に繰り返されるテンポチェンジによって、ポスト・ロック・バンドとしてのバンアパを浮かび上がらせている。 *小野田

10. 八十八ヶ所巡礼
バンアパとの対バン経験もあるが、そういった縁が生まれる以前からバンアパの楽曲をカヴァーしていたというスリーピース・プログレッシヴ・ロック・バンド。彼らが採り上げたのは『謎のオープンワールド』に収録されている“ピルグリム”。軽快なファンク・チューンを、テクニカルでアグレッシヴなアレンジへ。刻みまくるリフ、速弾きソロなどとにかく圧巻。 *土屋

11. 吉田一郎不可触世界
坂本真綾“coming up”の制作にバンアパ勢と共に参加した吉田一郎。ZAZEN BOYSでも発揮してきたベース・モンスターぶりはバンアパが誇るミュータント、原昌和と重なる部分が少なくない。2015年の『謎のオープンワールド』から原の主導で制作されたディスコ・ファンク“禁断の宮殿”をチョイスし、ベースを効かせてチルなシンセ・ワークを施したアレンジは、そんな吉田から原へのメッセージでもある。 *小野田

12. HUSKING BEE
近しい先輩ポジションのバンドで、2マンはもちろん、荒井がソロで磯部正文や平林一哉とアコースティックで同じイヴェントに出演するなど、何かと繋がりも深いHUSKING BEE。そんな彼らがカヴァーしたのは、『謎のオープンワールド』に収録の“月と暁”。ギター・ロック然とした原曲を、さらにエモーショナルにアレンジしている。力強いヴォーカル、荒々しいプレイ──どこを切ってもまさしくハスキンなサウンドだ。 *土屋









