(左から)PARKGOLF、黒川隆介
取材協力:SEAWORTHY DRY GOODS
 

気鋭の若手詩人・黒川隆介が洋邦/新旧を問わず、気になるアーティストの楽曲を1曲ピックアップし、その歌詞を咀嚼して、アンサーソングならぬ〈アンサーポエム〉を書き下ろすこの連載。3度目の特別編となる今回は、前回のおかもとえみさんからの紹介で、ビートメイカー・トラックメイカーのPARKGOLFさんと対談します。PARKGOLFさんの日常生活に切り込んでいくと、トラックメイクと詩という一見離れた表現方法にも通ずる部分があることが明らかに……。さらに表現をする上で譲れないディティールについてや、知られざる〈石への愛〉、よく見る夢についてなど、ざっくばらんに語っていただきました。


 

二人の出会い

黒川「おかもとえみさんからPARKGOLFさんと仲が良いよと聞いていて、それで焼肉屋に飲みに来ていただいて。あの時はどういう風に聞いて来られたんですか?」

PARKGOLF「〈大学の同級生だった人でめっちゃおもしろい人がいる〉って聞いて、〈飲もう〉ってめっちゃラフに誘われて焼肉屋にたどり着いたみたいな感じで」

黒川「そうだったんですね。普段よく飲む人はどういう人がいますか?」

PARKGOLF「よく遊ぶのは、高校の同級生のBUDDHAHOUSEがいて。あとはDJのokadadaさんとか。イベント一緒になることも最近多かったし」

黒川「居酒屋に行こうってよりかは、そのメンバーともクラブのイベントで飲むことが多い?」

PARKGOLF「そう、一緒のイベントになったり、何人か知り合いが出ていたりして遊びに行くってなると絶対いるから、そこで飲む。逆に、居酒屋とかにはそのメンバーで行くことがなくて。クラブ以外で遊ぶってなったら、誰かの家でYouTube見るとか結構多いですね」

黒川「いまお話に出てきた人たちも音楽関連の方々じゃないですか。普段会う人っていうのは音楽関連の方が多い?」

PARKGOLF「多いし、ほとんどかもしれないですね」

黒川「そもそも、音楽を始めるきっかけというのは?」

PARKGOLF「音楽は小さい頃から好きで、親も結構ずっと音楽聴いてるみたいな人で。小学生の時は、ただ単純に聴いたりCDを借りたりしていて、中学くらいで、KICK(THE CAN CREW)とかRIP(SLYME)とかが出てきた時に、友達でヒップホップをずっと聴いている人がいて。それこそあの、GAGLEのmitsu the beatsさんとかHIFANAとかKREVAとか。MPCを使って曲作っている人たちがいて、〈ヒップホップやりたい〉ってなって。そこから友達がMPCを買って、俺がターンテーブルを買ってサンプリングとかして曲作ってラップする、みたいなのが音楽始めたきっかけかな」

黒川「なるほど」

PARKGOLF「3年ぐらい、その友達と曲作ってラップ録って、特に発表するわけでもなく各々聴くみたいな。で、友達がサンプリングのネタにこだわりたいって話になって。けど俺はあまりサンプリングソースとかどうでもよくて、シンセでも新しい曲を作りたかったから、完全に意見が分かれた。で、高1ぐらいのときにやめたんだよね」

黒川「中学から作り始めているとなると、高1の時には既に各々の方向性が出ていた?」

PARKGOLF「新しい曲を作りたいっていうのと、サンプリングにこだわりたいっていう方向にそれぞれね。でも曲はめっちゃ作りたかったから、向こうがMPCを持ってて自分では作れないからお金を貯めて買って、高2の冬くらいからMPCで自分の曲作り始めて、そこからは自分1人。ラップももういいかなって思い始めてね」

黒川「最初は(ラップを)やっていたんですか?」

PARKGOLF「最初はその友達と一緒にやっていただけで、自分1人で曲作り始めてからは、なんかもう〈インストでも全然楽しいしいいや〉みたいな感じになっていって。それで高2から曲は作ってた。でも高校生だし遊びたいっていうのもあったから、たまにインストだけ作ってた」

 

美容師を辞め、音楽の仕事へ

PARKGOLF「高校を卒業して美容専門学校に入って、ほぼ遊びという感じで作っていたんだけど、卒業後就職して曲をほぼ作らなくなって。音楽やりたいけど、シャンプーの試験に受かるまではお客さんに付けなくて、半年くらい受からなかったから、その時に〈(美容師を)辞めよう〉って決意した。そのまま辞めたら気持ちが収まらないから〈受かって辞めよう〉と思って、受かった何日後かに美容師辞めました」

黒川「そもそも、美容師を選んだ理由って何ですか?」

PARKGOLF「美容師は、結構消去法で選んでいって。音楽をやりたかったけど音楽の学校に行くことを親に反対されたからやめて。お金出してもらわなきゃいけないから、手に職っていうことで選んで。ただ、勉強がめっちゃ嫌いだったから、2年だし専門学校にしようってなって、美容学校は楽しそうって理由で美容学校に通うことにして」

黒川「北海道で生まれて、北海道で育って、北海道で過ごしていくつもりだった?」

PARKGOLF「そう。当時は東京に行くことになるとは全く思わなかった。就職先も、とりあえず札幌でいいかな、東京に行く理由もないかなって。地元も10分15分で札幌都心部って感じのところだったし。美容師を辞めた後に、バイトをしながら音楽続けようって思ったけど、その時も、東京に行くつもりは全くなくて」

黒川「ほう。いままで他にしてきたバイトや仕事はどんなのがあります?」

PARKGOLF「まず美容師を辞めて、最初2~3か月何もしていなくて、お金がなくなったので飲食店でバイトし始めたんだけど、全然合わなくてすぐ辞めて。そこは個人店だったから、常連の人ばかり来る店で、毎回話した内容覚えてないといけないし、そういうのが苦手で。美容師も実際そういうところが嫌で、そういう個人と話すタイプの仕事、合わないなって思ってたので。そこから2年半くらい服屋で働きました。音楽は空いた時間にずっとやっていて、徐々にイベントや制作が増えていったと言う感じかな」

黒川「音楽は、どのタイミングで仕事として成り立っていくんですか?」

PARKGOLF「最初はSoundCloudで見つけてくれた人がリリースの話をくれて、次にMaltine Recordsのtomadがリリースの話をくれて、東京でやるイベントにライブセットで呼んでくれて、そこから爆発的な何かはないけど徐々に仕事につながっていったと言う感じです」


曲作りのためには、曲作りの時間より生活の方が大事

黒川「曲ってどう作るんですか? 例えば僕でいうと、詩を書く際に、パッと浮かんだ〈これ書きたい〉ってことを書くパターンや、日常のなかでメモを取っておいてそれらを繋ぐパターンがあるんだけど、どういうアプローチで作るのかなって」

PARKGOLF「あー、毎日(曲を)作ってるからな……。シンセの音色を作ってコードとかフレーズを録音して、良くなりそうなもの組み立てて作っていく方法が多いです」

黒川「作業場に着くまでは、結構フラットな状態でいる?」

PARKGOLF「結構それが多いかもしれないですね。この感じとこの感じを足して自分の感じにしようっていうアイデアがあれば結構早いけど……。でも、何も思いついてない時でも、とりあえず座ってシンセを立ち上げて弄って、いい感じになりそうなやつを拾っていくっていうことが結構多いかも」

黒川「その作り方は、SoundCloudに曲を上げてた当時から同じ?」

PARKGOLF「そう、ずっとその感じでやっていた」

黒川「そういう曲作りの方法論って、何か参考にしたんですか?」

PARKGOLF「最初MPCで作っていた時は、参考書みたいなものもそんなにないし、機材の使い方をとりあえず勉強して、サンプリングをして、それをどうしていくかを叩きながら考えて。結構直感的に音楽を作る機材だから、参考書っていうよりは試していって、〈出来たものが曲です〉みたいな感じだったかな」

黒川「なるほど。曲作りに直感が影響しているとなると、曲作り以外の時間も曲作りに影響しているんじゃないかって思うんですけど、そこはどうですか?」

PARKGOLF「それがめちゃくちゃ影響してて。どっちかっていうと、曲作りより生活の方が大事なくらい。生活しているうちに、聴いてる曲とかいじった曲とか思った事が、どんどん曲になっていくから。割とそういうことが大事なんだろうな」

黒川「PARKGOLFさんの生活ってどんな時間割なんですか?」

PARKGOLF「最近健全になってきて、朝の9時10時くらいに起きて、1時間くらいご飯を食べたりコーヒー飲んだりして」

黒川「ご飯は外食ですか?」

PARKGOLF「いや、買って食べたりとか、最近ちょっと作るようにしてるけどそんなに多くはなくて。そのあと1時間ぐらいダラダラとして。昼前くらいから曲作り始めて、だいたい2~3時間で集中力が1回切れるから、それで昼ご飯を食べて、また休んで曲作りを始める。夜の7~8時ごろに晩ご飯を食べて、そこからはバラバラかな。YouTube見たりとか」

黒川「なるほど。音楽を作ってると人に会うことが少ないのかもしれないですね。人と会う頻度は週にどのくらい?」

PARKGOLF「ですね。週に2~3回くらいしか会わないかな。一人の時間が多くて、ずっと家で曲を作ってる」

黒川「その時間割の中に、〈曲作りより生活が大事〉の生活の部分が詰まっているんですかね」

PARKGOLF「でも、うちの周りは公園がやたら多くて結構散歩に行くんですよ」

黒川「あ、もしかして名前の由来ってそれですか(笑)?」

PARKGOLF「いやいや(笑)。この名前はBUDDHAHOUSEが勝手につけたんですよ(笑)。〈名前変えよう〉って話をした時に、最終的に〈PARKGOLFにしたら?〉って落ち着いて、そのまま名前になった感じで」

黒川「どういう意味だったんですかね?」

PARKGOLF「いや、本当に意味はなくて(笑)。話していくうちにゴルフ縛りになっちゃって、PARKGOLFに落ち着いたっていう。呼びやすいし良いんじゃんって」

黒川「ちなみに公園とゴルフどっちが好きですか?」

PARKGOLF「それはもう確実に公園が好き(笑)」

黒川「ゴルフは全くやらないんですか?」

PARKGOLF「やらない(笑)」

黒川「(笑)。で、家の周りを結構ぷらぷらしてるんですね」

PARKGOLF「そうですね。うちの近所は犬が多いから遠目で見てInstagramにあげたり」

黒川「じゃあ、ゴルフさんの曲の中には犬のエッセンスも入ってるんじゃないですか?」

PARKGOLF「(笑)。もしかしたら入ってる可能性あるなあ、どこが犬のエッセンスか全くわかんないけど(笑)」

 

栄養不足で味覚障害に

黒川「あと生活の話で言うと、食べ物だとどんなものが好きですか?」

PARKGOLF「結構味覚音痴で、食材の良さがよくわかんないっぽくて……。例えば〈北海道は海の幸〉とか言うけど、たしかに美味しい味なのはわかるんだけど、深みとかは全然わかんなくて。それであまりに食に興味がないからってお菓子ばっかり食べてる時期があって、20歳ぐらいで味覚障害になったことがあるんです。朝ごはん食べても口の中に物があるだけみたいで、病院へ行ったら〈栄養不足で味覚障害になってる〉って言われて」

黒川「お菓子しか食べないって……。じゃあその時期に作っていた曲はお菓子のエッセンスがかなり入っているかも(笑)?」

PARKGOLF「だと思いますよ、きっと(笑)」

(ここで取材場所のSEAWORTHY DRY GOODSより大量のお菓子が運ばれてくる)


PARKGOLF「青臭い野菜とかも本当食べれなくて。ただ基本根菜は食べれるんですよ、ごぼうは食べ物界でも上位にいる気がする」

黒川「じゃあ〈今日ごぼう食べに行きます?〉って誘ってみるとか」

PARKGOLF「めっちゃいい。ごぼう専門店なんてあんまりないけど(笑)」

黒川「寿司も好きですけど、もしこの世界に寿司と野菜がなかったら…?」

PARKGOLF「お菓子が1位で3、4、5位くらいにごぼうが入ってくるかな……。それくらい好きですね。マテ茶とか、土臭い味が大好きで」

黒川「食べ物をあまり地質で考えたことなかったな……」


PARKGOLFが愛する〈石〉の魅力

黒川「土臭いとか地質とかって話で言うと、好きだという〈石〉についても聞いておきたくて」

PARKGOLF「多分一番最初に石にちゃんと触れたのは、小学校低学年の時におじいちゃんとやったガチャガチャで2月の誕生石の〈アメジスト〉が出たことなんですよね。それをめっちゃ大事にしていたのが石を集めるようになった1番最初のきっかけです。23歳くらいの時、ライブで新潟に呼んでもらったことがあって、会場の近くに石屋さんがあって。入ってみたらアメジストがあって綺麗だなと思って。そこから集め始めて」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

愛

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PARKGOLFのInstagramより
 

黒川「石の魅力って、なかなか語られませんよね。ゴルフさんにとって石とは……?」

PARKGOLF「いくつかあって、まず単純に見た目がいい、かわいい。ヴィジュアルがめっちゃ良いということ。もうひとつは、〈花とか草〉と〈石〉って正反対なところにあるなと思って。花とか草は手をかけて育てられたり、放っておいたら枯れちゃったり。でも石は何もなくてもずっとあるだけ。そういうところが好きで」

黒川「いまどのくらい持っているんですか?」

PARKGOLF「まだ30個くらい(笑)」

黒川「石を見てかわいいって思ったことなんてなかったかもなあ。じっくり見る機会なんて川で水切りするときくらい(笑)。石屋さんって店員さんがエネルギッシュな女性って勝手なイメージがあって、少し抵抗感があるんですよね」

PARKGOLF「あー、パワーストーンを売っているお店に行くとその傾向はあるかも……。でも、光っている石を見るとめっちゃテンション上がっちゃって(笑)」

 

 

生活に近いものを作りたい

黒川「ちょっと質問の毛色を変えて。もしこの世に音楽がなかったら何をしていたと思いますか?」

PARKGOLF「実は最近そういうことを考えていたんです。椅子を作るかガラスを作るか」

黒川「その心は?」

PARKGOLF「いま音楽が無くならないとしてもいつか作りたいなと思っていて。音楽って耳で聴くことしかできないから、一方で物としてあるのがいいなって。椅子とか、ずっと使える物ですね」

黒川「それってさっきの石に近いんじゃないですか?」

PARKGOLF「そうそう、近いかもしれない。あとなかなか買い換えるものでもないから、ずっと近くにあるし、1日に1回は関わるし。そういうものがめちゃくちゃいいなと思って。ガラスのコップとかもそうですね」

黒川「〈触れる〉っていうことと〈ずっと続く〉っていうことが大事なんですね」

PARKGOLF「最終的に音楽はずっと続けるつもりだけど、そういうことも一緒にやりたい。椅子は生活感があるし。音楽にも最新のテクノロジーとかあるけど、生活にはまだ直接関係してないものだから、それよりかは衣食住に近いものの方が好きなんだなと思って」

黒川「実は僕、音楽をそこまで聴かないんですよ。だから音楽と生活の距離が離れているというか。街を歩いていても、車が通る音とか人が行き交う音のほうが好きで、イヤホンを外しちゃったり。でもゴルフさんの曲は、そういう世界の音とか地球の音に近いかもしれないです」

PARKGOLF「逆に(黒川が)詩を書くにあたって、音楽を聴いて詩が思い浮かぶことってありますか? 詩を書こうとしてる状況じゃなくて、たまたま聴いていてハッて思うみたいな」

黒川「それでいうと、インストの方が多いんですよ」

PARKGOLF「なるほどなるほど」

黒川「10年前くらいに、OVUMっていうインスト・バンドをよく聴いていて、そのおかげで当時創作の回数が多くなりましたね。ゴルフさんは街の音とか意識したりしますか?」

PARKGOLF「うーん。意識して〈いいな〉って思うことは少ないかな……」

黒川「さっき、友達と音楽を始めたときに方向性が違っていってトラックを作り始めたって言ってましたけど、じゃあ歌詞はゴルフさんにとってどういうものなんですか?」

PARKGOLF「歌詞は、自分のなかで印象の強い言葉をどんどん書いていって、そのなかから使いたいものを繋いでいくことが多くて。何か思っていることがあるときは、ひとつのことを元に話を続けていく感じです」

黒川「例えば歌い手の人に入ってもらうこともあるじゃないですか。そのときには歌詞の方向性は指定するんですか?」

PARKGOLF「例えばえみそん(おかもとえみ)との曲とかは自分が書いて歌ってもらったけど、ラッパーと一緒にやる時は、何も言わないで曲だけ渡して、自由なことを歌ってって言います。でもあんまりイメージとかけ離れたことを書く人がいなかったから、これまで歌詞を直したことはないかな。イメージを伝えてなくても、うまく歌い手に雰囲気とかが伝わっているのかなって思います」

おかもとえみをフィーチャーしたPARKGOLF“ダンスの合図 feat. おかもとえみ”のMV
 

黒川「今回、この対談を経て、僕は一曲をフィーチャーして詩を書くんですけど、全く違う感じになっちゃうかもしれない……」

PARKGOLF「そこは大丈夫ですよ(笑)。自分は、その曲のごく一部がやりたくて作っているから、全体の雰囲気にさえ合っていればあとはなんでもいいって思うところがあって」

黒川「なるほど、フィールドが広いってことですかね」

PARKGOLF「ですね。めっちゃフィールドは広いと思います。詩を書く時はどういうパターンが多いの?」

黒川「あー、ここ数年は突き詰めて作るものよりも、どこまでだったら人が言葉として読めるだろうっていうバランスを意識して作っているものが多いかもしれないですね。わかる範囲というか。言いたいことの概要は変えないけれど、ギリギリ届くっていうわかる範囲を意識して書いているかも」

PARKGOLF「じゃあ細かいディテールより、言いたいことがひとつあって、それを伝える方法をギリギリのところでやってみる、みたいな?」

黒川「うーん……ディテールが全部決まっていった結果、そうなるというか」

PARKGOLF「おー、へえ……」

黒川「〈てにをは〉をどこか省略するとか、細部を固めていくと、結果として言葉の橋が全部繋がっていくというか。言いたいことがある時に、〈こことここが何かに触れるかもしれない〉って思うところがあるとしたら、そこの細部を詰める。すると、気づいたら言葉の橋が勝手にかかっている。それが〈意識しているのがギリギリ伝わるところに落とし込む〉っていうところですね。例えばゴッホのように、死んでから作品の意図が広まって伝わる人もいますけど、そうじゃないような寄せ方を最近は意識して作ってます」

PARKGOLF「ディテールを決めてたら自然に出来る……なるほど」

黒川「だから、僕も詩を書く作業台についたら書けるっていうことは、普段からそのディテールを詰めていく作業をしているからで。そういうところは音でもあると思いますけど」

PARKGOLF「うんうん。僕も曲の全体よりかは、曲の一部の、聴いている人には細かいディテールの部分がめっちゃ大事で、その部分さえよければ後は個人的に満足しちゃうから。だから、それ以外の部分は譲るって言ったら変だけど、それ以外の部分もよりわかってもらえるかもな、って考える時も結構ありますね。ディテールか……結構ディテールの方が重要みたいな?」

黒川「そうですね。〈これを書く〉っていうものが決まっていたとしたら、それをどう書いていくかというよりも、その解像度をめちゃくちゃ上げる。粒子を際限なく細かくできたらなって。例えば、〈今後はこっちの作品にシフトしたい〉って思った時でも、その細かささえあればどっちにでも振れるっていうのもあって」

PARKGOLF「いやー、それはめっちゃわかるかも」

 

自分の手に収まる幅のもの

黒川「そういえばゴルフさん、映画で泣けないっていう話もしてましたよね」

PARKGOLF「1回もないですねえ。映画もドラマも音楽も」

黒川「好きな映画とか本はありますか?」

PARKGOLF「いや……子供の頃の思い出で好きっていうのはあるけど、〈このメッセージが〉とか〈この演出が〉とかは全くなくて。最近〈感動〉について考えていて、多分感動はしているんだけど全然長続きしないんだろうなと思って。〈あっ! いい!〉って思うことはあるけど、秒単位とか一瞬で終わって、あとはどうでもよくなっちゃう。その話のうちのめっちゃズームした一瞬とかがいい。それがあればいい映画だなって思うぐらいの感じ」

黒川「じゃあ音楽を作るって時も感動させようっていう意識は……」

PARKGOLF「ない。全くなくて」

黒川「それって、僕はすごく好きな姿勢かもしれないです。今より若い時は〈これ書いたら感動するだろうな〉って考えたことがあったけど、その意図が見えるものって受け入れる側からすると全く〈来ない〉じゃないですか」

PARKGOLF「〈来ない〉ね。そういうのが見えれば見えるほど引いちゃう」

黒川「ですよね。だからすごく共感しますね」

PARKGOLF「うんうん。でも人によっては、とことん感動させる場所を作って欲しい人もいるよね」

黒川「僕のなかでとても残っている言葉があって、映画『おくりびと』の脚本を書いた小山薫堂さんにお会いした際に、〈たくさんの人を感動させようとして作ったものがそんなに遠くまで届かなくて、誰か特定の人に書いた手紙みたいなものが、結果として世界の端まで届いたりしたことがあった〉と言っていて。みんなを感動させるっていうすごく抽象的なことよりは、さっきの生活の話じゃないですけど、自分の手に収まる幅のものの方が、心に入り込みやすいのかもしれないと思いますね」

PARKGOLF「なるほどね。できればそうであってほしいという願いもありますね」

 

別の世界を救う夢

黒川「あと聞いておきたいのが、子供の頃からの記憶に残っている夢ってあります?」

PARKGOLF「めっちゃある。例えば……変な話になるけど、〈別の世界を救う〉みたいな。そういう夢を見ることが本当に小さい頃からあって……」

黒川「異世界ものだ(笑)。それってどういう設定なんですか?」

PARKGOLF「一番最近見たのだと、人と公園を歩いていて、振り向いたらいきなり違うところにいて、いままでとは違うデカい草とか刺々しい木々がいっぱいあるところに、小学校から高校ぐらいまで住んでいた実家が出てきて。〈実家だ、行こう〉ってなったら、母親に〈この世界はもうダメだ、終わりそう。だからそれを自分の世界のほうに伝えてほしい〉って言われて。〈わかった〉って言って振り返るとさっきの公園に戻れて。そこで一緒に歩いていた人に〈いまこうこう言われたんだけど、あっちの世界はダメらしい〉みたいなのを言って目が覚める。そういう夢が何個かあって」

黒川「え、異世界に救いに行く手前で覚めるの?」

PARKGOLF「いや、救いに行ってるのもある。例えば、結構大きめの駅で、その植物が生えたらその場所がダメになる、生物が死んじゃうっていう植物テロみたいな設定で。ただ植物がもう生えかけているところがその駅にあって、そこから次の駅に行って、みんなに走って〈早く逃げろ!〉って知らせて目が覚めるっていう」

黒川「じゃあ戦ったりしているっていうよりかは」

PARKGOLF「知らせなきゃいけないらしい。〈知らせなきゃいけない役目〉っていうことで言うと、よりリアリティのあるヴァージョンの夢を2年前くらいに見て。友達のBUDDHAHOUSEと最初の半年くらい東京で一緒に住んでいた時の夢で、家の4階で向かい合って話していて。奥に窓があって、窓の奥からおじさんが来る。〈ここ4階なのにあり得ないな〉って思っていたら金縛りに遭うんです。〈やばい、動けない〉ってなって、解けて寝たらまた最初から夢が2回くらい繰り返されて。そのうちにピンポンってインターホンが鳴って、〈あのおじさんなんじゃないか〉って思って、BUDDHAHOUSEが出てみたら、本当にそのおじさんで。〈どなたですか〉って言うと、〈昔ここに住んでいた者で、たまたまBUDDHAHOUSEの遠縁の人です〉って言われて。〈こんな珍しいことあるんだ〉と思いながら、〈起きたらまた現実世界のBUDDHAHOUSEに伝えてください〉って言われて(笑)」

黒川「また伝言なんだ(笑)」 

PARKGOLF「で、起きてからちゃんと本人に伝えたら〈だから何?〉って感じで言われて」

黒川「あしらわれて終わったんだ(笑)」

PARKGOLF「毎回伝言させられる……」

黒川「いまやっている仕事も、何かしら伝えていかなきゃいけないっていうアナウンスなのかもしれないですね(笑)。誰か夢の研究者がこの記事を見つけてくれたら嬉しいです。じゃあ最後の質問なんですけど、『笑っていいとも!』の〈テレフォンショッキング〉のように、今回はおかもとえみさんから紹介してもらったゴルフさんと対談をしたので、次の対談相手を紹介してもらいたいんですが……」

PARKGOLF「誰がいいかな……。めっちゃ近いところでいったらBUDDHAHOUSEですかね。結果としてゴールは近いんだけど、考え方が違うからおもしろいと思うし。あとはSUSHIBOYSのファームハウス。話していて突拍子も無いことを言ったりするので」

黒川「ご紹介いただきありがとうございます。今日はなかなか好きな話が出来たし、一見音楽から遠いテーマでもまた音楽に結びついていくのがおもしろかったです」

PARKGOLF「こちらこそありがとうございました」

 

この対談を経て、黒川氏がPARKGOLFの楽曲“PINK”を浴びて書いたアンサーポエムはこちら



PROFILE:黒川隆介
神奈川県川崎市出身。16歳から詩を書き始め、国民文化祭にて京都府教育委員長賞受賞。「詩とファンタジー 寺山修司抒情詩篇」に山口はるみ氏とのコラボレーションで掲載。柏の葉T-SITEにて登壇、ファッションブランドとのコラボレーションなど、近年、詩と映像を軸に広く活動中。