We Like You Better
次世代のポップスターとして脚光を浴びてきたラウヴが、いよいよ初のアルバムを完成! 多面的な魅力と複合的なキャラクターをすべて表現したその中身とは……?
「『〜how i’m feeling〜』は人の人格、またその中にもさまざまな観点が内包されていることを描いた作品なんだ。それで今回、僕は6つのそれぞれ違った自分のキャラクターを作った。紫は〈実際に存在している僕〉、青は〈夢見がちで可哀想な僕〉、緑は〈間抜けな僕〉、黄色は〈ポジティヴな僕〉、オレンジは〈やんちゃな僕〉、そして赤は〈刺激的な僕〉、これらすべてが合わさって僕という人間が出来上がっているんだ。これまで発表してきた作品はそれぞれ一つずつの側面にフォーカスしたものだったんだけど、今回のアルバムで初めて自分自身を司るすべてのパーツをまとめることができた」。
待望のファースト・アルバムについてラウヴはこのように説明する。本人の言う6色のキャラクターはジャケにもコミカルな姿で表現されている通りだが、そうした内面の分析とは違う点において、彼がこれまでの活動を通じて多面的な姿を見せてきたのは間違いない。代表曲“I Like Me Better”などを通じて〈この10年でもっとも成功したインディペンデント・シンガー〉となった彼は、近年DJスネイクの“A Different Way”にフィーチャーされたほか、昨年はソングライターとしてバックストリート・ボーイズ“Nobody Else”やカリードの“Hundred”、セリーヌ・ディオン“Imperfections”などをコライトするなど活躍の場を広げてきた。
そんな動きと並行しながら完成を見たのが今回の『〜how i’m feeling〜』だ。トロイ・シヴァンと〈I’m so tired of love songs〉と歌う“i’m so tired...”をキックオフとしてヒットさせたのが昨年1月のことで、そこから楽曲を順次公開して本編への期待を高めてきた。表題そのままの“Drugs & The Internet”、メンタルの問題に踏み込んだ“Sad Forever”、アン・マリーとの感傷的な“fuck, i'm lonely”、レイニーとの“Mean It”……と各曲のアートワークでは冒頭の発言通り髪色の異なる彼を確認できるが、そうやってポップなサウンドで自身の内面を丹念に描き出すプロセスが結果的にアルバムの形成へ繋がったというわけだ。
客演という意味では先述の3組に加え、昨年コラボ経験済みのBTSを“Who”に、メキシコのソフィア・レイエスを“El Tejano”、カナダのアレッシア・カーラを“Canada”にフィーチャー。それらも効果的に配しつつ全21曲(+日本盤ボートラ)というヴォリュームに仕上がった『〜how i’m feeling〜』の魅力は、耳馴染みのいい全方位型のサウンドにキャッチーなメロディー、だけじゃない。本編のラストをヒューマンな歌声で美しく飾るオールドマナーのスロウ“Modern Loneliness”を聴けば、繊細な時代に寄り添って響く彼の表現がここまで支持される理由も伝わるはずだ。「僕にとって新たな時代の扉が開いた」と語る本作を経て彼がどこへ向かうのか、いまから楽しみでならない。