ダンスや絵などのカルチャーと繋がりたい

――ジャズを歌い始めた時に気付いたことなどがあれば教えてください。

SOA「リズムの取り方がポップスと全然違いました。ポップスよりもリズムの範囲が広いんです。それに関しては練習というよりもライブで学んだ感じかな。

自分のプロジェクトでは独自のカラーを出すためにスタンダードをアレンジしてましたが、オーソドックスな曲も歌って慣れていきました」

――たしかにSOA ORBITAL ARCHITECTS名義のパフォーマンスでは“My Favorite Things”を4つ打ちでやっていたり、ループ・ステーションやヴォコーダーなどの機材を導入したり、かなり尖っていましたね。

SOA「“My Favorite Things”はバンドを始めてすぐアレンジしたもので〈押せ押せ〉な感じです(笑)。

去年、一昨年と回ったツアーではポール・ダンサーさんとコラボレーションしました。音楽だけではなく、ダンスや絵などのカルチャーと繋がりたかったんですよね。今はアルバムも作ったので音楽に集中していますが、また機会があればダンサーさんとやりたいし、ショウ的なステージもやりたいと思っています」

 

SOAとして活動してきた4年間の集大成になったと思います

――それでは『Voice of Buoy』のコンセプトについて教えてください。

SOA「まずは〈ジャズだけでなく色々なサウンドを取り入れて、自分の音楽を作りたい〉という想いがありました。基盤となるデモを作りこんでから、島さんと何度もやりとりしたのを覚えています。レコーディング前日のリハーサルまでに、どこまで固められるかが勝負でした」

『Voice of Buoy』トレイラー

「もともとのアレンジや選曲など、基本はSOAさんのアイデアを優先しています。ただ作り込みすぎると普段やっているライブとかけ離れてしまいますから、バランスは重要視していました。ミックスも録り音をベースにして、強引に音圧を上げたり派手なエフェクトをかけたりはしてません。ジャズマンは〈ツアーをやって、CDを売ってナンボ〉な世界なので、ある程度は現場で再現できた方がいいんですよ」

SOA「あとは〈ジャズ・アルバムだからスタンダードを選ばなきゃ〉とは考えずに自分が好きで、タイトルに合う曲を選んでいきました。アルバムの軸になる曲を、と思って作ったのは“Under The Stars”。

作曲する時は〈ライブにどう還元するか〉を考えながら、セッション感を意識します。ジャズ・ミュージシャンと一緒に演奏するのは、人によって曲の雰囲気が全く変わるから楽しいんですよ。

3曲カヴァー、7曲オリジナルというのはジャズ・アルバムでは珍しいかもしれませんが、SOAとして活動してきた4年間の集大成になったと思います」