インタビュー

ふかわりょうがベートーヴェンを語る「革命真っ最中の音楽だと思いました」

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 「ふかわさんにも十分、革命家の資質があるのではないか?」。急にそんな気がして、ベートーヴェンの生誕250周年を記念したイヴェントの〈アンバサダー〉を引き受けたときの気持ちを語ってもらった。

 「日本でも普段のテレビCFなどで原曲、アレンジの別なくクラシック音楽は絶えず流れていますが、気づいていない人が多いのです。〈クラシックは難しい〉と敬遠されている方でも、こうして流れてくるメロディが〈実は好き〉という可能性は高いと思います。それを気付いていただく場に身を置き、橋渡し役を務めようとの思いで、お引き受けしました」

 実は、ナントで得た感触とアンバサダーの役割を重ね合わせ、ふかわにしかできないイヴェントも温めていた。「プチョヘンザ☆クラシックです」。思わず「何ですか、それ?」と聞き返す。

 「あはは! Put your hands up!( プット・ユア・ハンズ・アップ!)を敢えて日本語の短縮形で発音させてみたのですが、僕なりの挑戦です。以前から取り組んでいたのですが、ベートーヴェンを中心に様々なクラシックの名曲をクラブミュージック風にアレンジして、僕がDJをするダンスフロアをしつらえます。ナントでの熱狂を目の当たりにして〈きっと、踊りたい人も多いだろう〉と確信した結果、アイデアが生まれました。LFJのような状況設定には、それを許容する懐の深さがあります。今まで温めてきた自分なりのクラシック音楽の表現を実行に移す勇気を、ナントで授かりました」。 素晴らしいアイデアの実行は世界を覆う雲(コロナウイルス問題)が晴れてからでも遅くない ──いつも音楽に合わせて体が自然に動き出しては、周囲の厳格な聴衆から「じっとしていろ」「正しい姿勢で聴け」と叱られてしまう筆者のような人間が、待ち望んでいた企画なのだから。

 最後に「ふかわさんの最もお好きなベートーヴェンを1曲だけ、挙げてください」と、再びベタな愚問を発してみた。

 「うーん、難しい質問ですね」。しばしの沈黙を経て「若い頃はピアノ・ソナタ第17番《テンペスト》でしたが、今はピアノ協奏曲第5番《皇帝》の第2楽章でしょうか。たくましさの中に秘めた、たまらない優しさに惹かれます」と、素敵な着地点が訪れた。

 *〈ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2020〉(LFJ)は、このたびの新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、やむなく開催を中止することとなりました。

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