祝! 25周年。〈熱帯〉らしさが溢れるパワフルなナンバーを、映像と音でどうぞ!
今年めでたく結成25周年を迎えた熱帯JAZZ楽団。5年振り18枚目となるアルバムはデビュー作以来の自主制作となったがだからといって大きく進路が変わるわけではなく、これまで同様に、もしやするとそれ以上に〈熱帯〉らしさに溢れたアルバムに仕上がった。
その〈熱帯〉らしさとはなんだ? 今までのアルバムをじっくり聴くと3つの要素が浮かび上がる。ひとつは誰もが知っている曲の大胆なラテンアレンジ。今回はなんと1曲目に、吹奏楽そして甲子園での定番曲“アフリカン・シンフォニー”をモザンビーケにして出してきた。これは全国の吹奏楽ファンが聴くだけでなく演奏したがるに違いない。その一方でパーカーの“ヤードバーズ組曲”も軽快で楽しげなマンボに生まれ変わっているし、越路吹雪の歌で知られる“ラストダンスは私に”も小粋で可愛らしく仕上げられている。さらにジャコ・パストリアスの “スリー・ヴューズ・オブ・シークレット”は青木タイセイの手によってアグレッシヴなアフロ・ジャズ・チューンに仕上がった。もうひとつはジャズ・ビッグバンドとしてのしなやかなスウィング感を持ったナンバー。今作だとリーダーのカルロス菅野が歌う“レディ・イズ・ア・トランプ”。ゲストヴォーカルにCHAKAを迎えたエリントンの“キャラバン”がそれにあたる。そして座付き作曲家陣によるオリジナルだ。メロディの美しさには定評がある中路英明がまたも聴かせるメロディを書いた“ラ・ベルダッド”。そして熱帯サウンドの要とも言える森村献による“マンボ ・エンスエニョ”がそれだが、今回は珍しくカルロスも一曲“エソ・エス”を書いている。
さらにレコーディング・ドキュメントに加えてカルロス菅野、森村献、青木タイセイ、中路英明によるレクチャーを収録したDVDも同時にリリースする。常々ラテン・ミュージックに厳然と存在するルールや作法について語ってきたカルロス菅野だけに、こちらも期待できる内容だろう。