いまや完全に時代の寵児となった彼の5作目。関口シンゴ、Shyoudog、石若駿、MELRAWらを迎えた痺れるファンク“感電”、和楽器を挿し色にジャージー・クラブ的なアプローチを採り入れた“パプリカ”、意外にも80s風シンセ・ポップに着地した野田洋次郎とのコラボなど、サウンド面ではほぼ全曲のアレンジに関わる坂東祐大の貢献もあってか、折衷的な多様性をさらに増した印象。一方で表題には、いつの間にか神格化されてしまった自身(と、そう扱うメディアや評論)への皮肉も感じられ、実際“迷える羊”の歌詞に〈楽屋には サンタマリアがいない〉とあるのも示唆的だ。その曲で最終的にはポップスターとしての覚悟を示すところを含め、とことん深読みしたくなる入り組んだポップネスがまさに米津玄師。

 


2年9か月ぶりにリリースされた5枚目のオリジナル・アルバム『STRAY SHEEP』。“Lemon”や“Flamingo”といったヒット・シングル曲を配し、さらにはFoorinへ提供した“パプリカ”、菅田将暉へ提供した“まちがいさがし”のセルフカヴァー、野田洋次郎(RADWIMPS)とのコラボ曲“PLACEBO+野田洋次郎”など、濃密な光彩を放つ15曲が収録されている。

そんな作品は、一曲目の“カムパネルラ”からクライマックスのように展開されていく。切実な祈りにも似た痛みを宿し、〈光を受け止めて 跳ね返り輝くクリスタル/君がつけた傷も 輝きのその一つ〉と歌われるさまは、まるでジャケットにもある宝石を象徴しているかのよう。コミカルな要素を入れつつ、ファンクな仕上がりの“感電”に、SFチックで重厚かつ美しいサウンドが散りばめられた“迷える羊”。掉尾を飾る“カナリヤ”は、繊細なメロディーと静かな肯定が琴線に触れる。〈あなたも わたしも 変わってしまうでしょう〉と分かっていても、〈あなたとなら〉〈あなただから〉、〈いいよ〉と認めてくれることが、どれほど心を温めてくれるだろう。

不安や傷を抱えて迷える〈あなた〉を、決して見限ることなく、ともに迷い、ともに悩みながら、受け止めるための光を放ってくれる作品がここにある。