米津玄師『STRAY SHEEP』不安や傷を抱えて迷える〈あなた〉と、ともに迷い、ともに悩みながらも受け止める、光のような作品

2020.08.07

2年9か月ぶりにリリースされた5枚目のオリジナル・アルバム『STRAY SHEEP』。“Lemon”や“Flamingo”といったヒット・シングル曲を配し、さらにはFoorinへ提供した“パプリカ”、菅田将暉へ提供した“まちがいさがし”のセルフカヴァー、野田洋次郎(RADWIMPS)とのコラボ曲“PLACEBO+野田洋次郎”など、濃密な光彩を放つ15曲が収録されている。

そんな作品は、一曲目の“カムパネルラ”からクライマックスのように展開されていく。切実な祈りにも似た痛みを宿し、〈光を受け止めて 跳ね返り輝くクリスタル/君がつけた傷も 輝きのその一つ〉と歌われるさまは、まるでジャケットにもある宝石を象徴しているかのよう。コミカルな要素を入れつつ、ファンクな仕上がりの“感電”に、SFチックで重厚かつ美しいサウンドが散りばめられた“迷える羊”。掉尾を飾る“カナリヤ”は、繊細なメロディーと静かな肯定が琴線に触れる。〈あなたも わたしも 変わってしまうでしょう〉と分かっていても、〈あなたとなら〉〈あなただから〉、〈いいよ〉と認めてくれることが、どれほど心を温めてくれるだろう。

不安や傷を抱えて迷える〈あなた〉を、決して見限ることなく、ともに迷い、ともに悩みながら、受け止めるための光を放ってくれる作品がここにある。

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