ハイポジ『ハイポジ・カセット~hi-posi early days 1988-1993~』作品ごとに作風がまったく違う不思議なユニットの、ミッシングリンクを埋める貴重なカセット2作のCD化

ハイポジ 『ハイポジ・カセット~hi-posi early days 1988-1993~』 SUPER FUJI (2020)
JAPAN Pop Rock
2020.08.18

もりばやしみほを中心に、近藤研二、松前公高、あらきなおみ(荒木尚美)の4人編成で88年に結成、松前脱退後に山口優が加入し91年にメジャー・デビュー。後にもりばやしと近藤のみのユニット、もりばやしと愛犬のユニットと変遷し、2000年頃からは活動のペースを縮小。現在はもりばやしのソロ・ユニットとして活動するハイポジ(hi-posi)が、89年と93年に自主リリースしたカセットテープの音源を合わせ、近藤のマスタリングのもとCD化。ハイポジのリリースとしては2005年のマキシ・シングル『茶々&ちび〜三角橋の猫の歌〜』以来15年ぶりとなる(なおオリジナル・メンバー松前の未CD化音源集も同時リリース)。

後に多くの楽曲が初作『写真にチュー』(91年)とセカンド『Com'on Summer』(91年)に収録される89年のカセット『天下のハイポジ』は、あの菊地成孔(テナー/バリトン・サックス)を始めとする豪華メンバーのブラス隊やコーラス隊を従え、楽団とかサーカスを思い浮かべるような愉快さとズッコケ具合と怪しさが混じった曲たちが出揃っている。また、5年後に大名盤『身体と歌だけの関係』(94年)で表題曲を歌うとは到底思えない、あどけなさの残るもりばやしの歌声も(本人はインスタで〈#そーとー恥ずかしい〉と言っているが)非常に特徴的だ。

一方で93年の『ハイポジデモテープ93秋』(通称バカザルテープ)のもりばやしにもあどけなさは残っているが、彼女が後に何度も歌う“Moon River”や、自身が主人公の声優も務めたNHKのクレイ・アニメのテーマ曲“僕でありたい”では、少し大人びた歌声も。また後に近藤と共に栗コーダーカルテットを結成することになる栗原正己、川口義之、関島岳郎が参加しているのも往年のファンには熱いポイントだろう。

先の名盤『身体と歌だけの関係』にも収録されている楽曲“体重分の愛”は必聴で、前述の要因もありNHK Eテレっぽさの残る今作ヴァージョンと、アダルトでエロティックな『身体と歌だけの関係』ヴァージョンを聴き比べると子供が大人に急成長したような感じがあり、〈たった1年でいったい何があったのだろう!?〉と狐につままれた感覚に陥ること間違いなしだ。

アルバムごとに作風がまったく違うこの不思議なユニット(しかもストリーミング・サーヴィスにも初期以外ほとんどの作品が解禁されていない)が、今回ミッシングリンクを埋める貴重な作品がリリースされることによって、さらなる再評価が進めばいいなと思う。

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