コラム

ジョン・ビーズリー『MONK'estra Plays John Beasley』モンク生誕100年を記念したオーケストラと表現する〈マルチ・グルーヴ〉

©rob shanahan

モンク、オーケストラとの日々。

JOHN BEASLEY 『MONK'estra Plays John Beasley』 Mack Avenue/King INternational(2020)

 ジョン・ビーズリーのモンケストラ、最新作が届く。セロニアス・モンク生誕100年を記念して結成されたオーケストラの三枚目となる。このアルバムに収録されている“Donna Lee”を聴いてそのアレンジが僕がプロデュースをした宮里陽太のアルバム『Colors』に収録されたものをヴァージョン・アップしたものだと気がついた。そういえば宮里のアルバムのレコーディング中、彼は二つのことで悩んでいた。一つはモンケストラのアルバム制作とそのレコード会社だった。自費で制作を開始していて、当時すでにその音源やライブを聴いた二つのレーベルからオファーがあった。そして二つ目はワンショットの契約にするか、それとも複数枚の契約にするかだった。オーケストラ発足当時レパートリーが少なかったこと、このプロジェクトだけに束縛されることへの抵抗感と、その一方でオーケストラの存続の可能性についてのメンバーからの期待感との間で、ジョンの心は当時揺れていた。

 結局、複数枚契約をオファーしてくれていたMac Avenueと契約して、モンケストラの音楽は世界へと届けられることとなった。当初、L.A.を活動の拠点に置いていたが、NYベースのモンケストラも立ち上げて、さらにはコンサートでモンク自身の演奏する映像との共演という企画も飛び出して、ジョンとモンケストラの幸福な日々は続いた。

 マルチ・グルーヴというモンクの音楽世界観にずいぶんとジョンは酔心していた。一枚、二枚と制作が進み、モンクのスコアに様々なグルーヴやサウンド・カラーを書き込んでいく。ジョン自身、折に触れてピアニストというより作曲家、編曲家でありたいと言い続けてきていたから、モンクというフレームの中でという制限があったにせよ、ずいぶんと自由にこのプロジェクトを楽しんだに違いない。そして多作とは言い難いモンクの作品の中から20曲少々をバンドのレパートリーとして定着させて、ジョンはいよいよ作曲家としてこのオケに向き合った。

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