ちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)がプロデュースしたEP『ウカ*』で2018年にデビューしたシンガー・ソングライター〈ロイ-RöE-〉。中毒性の高いメロディー、唯一無二の歌声、ユニークな歌詞世界でリスナーたちから支持を得ている彼女の旅路は、2020年のいま新展開を迎えている。

そのひとつがTikTokでのブレイクで、コロナ禍を逆手に取ったロイ-RöE-は、7~8月にかけて61曲ものアレンジ・カヴァーを自身のアカウントで発表。“ラムのラブソング”(アニメ「うる星やつら」主題歌)のヒットに続き、“チャイナアドバイス”(相対性理論)が他のSNSにも波及し一大リヴァイヴァル・ブームを引き起こした。

もうひとつは〈Atelier RöE〉。デモ制作、共同アレンジャーやエンジニアの人選・交渉、アートワークやミュージック・ビデオを含め、制作のすべてをロイ-RöE-が舵取りするDIY企画だ。しかもその過程を〈Atelier RöE -naked-〉としてTwitterなどで発信・共有し、ファンとのインタラクティヴな制作を行っている。

ロゴやデモ制作の過程を捉えた〈Atelier RöE -naked-〉の映像

〈Atelier RöE〉の第1弾は、共同プロデューサーにThe Anticipation Illicit Tsuboiを迎えた“少女B*”。キエるマキュウのDJ/プロデューサーとして知られ、Official髭男dismから長谷川白紙までを手掛けるIllicit Tsuboiとの共同作業により、パワフルなサウンドに仕上がっている。MVのアニメーションは、ロイ-RöE-がTikTokでその作品に一目惚れしたというJARRYが担当した。

“少女B*”は、驚異的なバズを生んだことで急きょ先行配信リリースされた“チャイナアドバイス”との両A面シングルとして本日9月30日にデジタル・リリース。今回はこれを機に、ライターの天野史彬がロイ-RöE-という音楽家の作家性や“少女B*”の描く世界に深く踏み込んだ。 *Mikiki編集部

ロイ-RöE- 『少女B*/チャイナアドバイス』 ワーナー(2020)