弾力あるリズムと前進性に富んだ音楽で作品の既存のイメージを覆す、これまで体験したことのない激しい演奏。フォルテ・ピアノのベザイデンホウトと指揮者エラス=カサドによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲録音の第2作は内省的な作品とされる“第4番”を、“コリオラン”“プロメテウスの創造物”の両序曲で挟む組み合わせ。特徴的な部分が第2楽章の開始部。弦を激しくかき鳴らす強い音とこれに応じるフォルテピアノの澄んだ響きの対比表現が素晴らしい。続く終楽章まで一気に聴かせて興奮させられる。序曲も含めて、バネの効いた地響きのような太い低音の響きが印象的。