ベートーヴェンの最高傑作ながら、私には近寄り難い作品だった“ミサ・ソレムニス”。ヤーコプスの指揮は躍動感と緊張感を保ち、ドラマチックな演奏によって楽しめた。フライブルク・バロック・オーケストラは今が黄金時代。ハイレベルな豊麗で洗練されたサウンドを響かせる。ライナーノートの演奏風景の写真を見ると、チェロを除きオーケストラ全員立奏していて、これが躍動感をより高めていると思う。合唱はオーケストラの後方でなく、最前列である指揮者の左右に配置され、ソリストはオーケストラ後方に位置している。オーケストラを包み込むように声楽のクリアな発音とアンサンブルが耳に届く。