10年代のエレクトロニック・ミュージック界隈においてジェイムズ・ブレイクと双璧をなすトップ・プロデューサー、ニコラス・ジャーの通算4作目。移住先のLAで現地シーンと邂逅してよりポップなフィールドへとアプローチしていったJBとは対照的に、ここで聴けるのはサイド・プロジェクトのダークサイドや別名義アゲインスト・オール・ロジックなど、さまざまなアプローチを用いながらも内なる音楽へとディープに変遷してきた、主役の集大成ともいうべきサウンドだ。ゆったりと時間をかけて展開を重ね、確かな推進力で圧巻の別世界へといざない、その果てで出会うのは漆黒の闇にしっかとそびえ立つ音響彫刻。ラシャド・ベッカーによるマスタリングも鉄壁で、もはや言うことありません。