25周年記念作の第2弾は、初のデュエット作品。これまでに縁あって巡り合った7つの才能たちと声を重ねることで広げた〈歌〉の可能性、新たな創造性とは?

この25年で縁あった人たちと

 〈歌〉という表現を通してデビューから25年のキャリアを辿り、さらに自身の価値観、美意識、人となりも描き出す――。坂本真綾は新作『Duets』によって、みずからの軌跡と豊かな音楽性、そして、生き方や創作に対する姿勢を示してみせた。25周年記念作の第2弾にして、初のデュエット・アルバム『Duets』で彼女と一緒に歌ったのは、和田弘樹(h-wonder)、堂島孝平、土岐麻子、原昌和(the band apart)、内村友美(la la larks)、小泉今日子。デュエット相手からの詞・曲提供のほか、坂本自身が手掛けた楽曲、TENDRE、鈴木祥子、江口亮、岩里祐穂らによる楽曲も収録され、〈歌〉の豊かさを堪能できる作品となっている。本作のきっかけとなったのは、坂本真綾の初代ディレクターだった佐々木史朗氏(現・株式会社フライングドッグ代表取締役)のアイデアだった。

 「ちょうど2年くらい前かな、佐々木さんが還暦を迎えたときに、〈実はデュエット・アルバムの構想があったんだよね〉と言われて。そのときはあまり本気で聞いてなかったんですが(笑)、〈もしデュエットするなら、どんな人と、どんな曲をやったらいいだろう〉と考えているうちに、だんだんイメージが湧いてきたんですよね」。

 制作は〈誰と歌うか?〉からスタート。結果、彼女の音楽キャリアを支えてきたアーティストから舞台で共演してきた俳優、彼女自身が憧れてきたシンガーまで、坂本真綾の人生と深く関わってきた7人が揃った。

 「最初にお願いしたのは和田弘樹さん。その後も、これまでご一緒したことがある方、ぜひ一緒に歌ってみたいと思う方に声をかけて、結果的に7人の方が参加してくれることになりました。このアルバムはある意味すごく個人的なもので、恩師へのプレゼントでもあり、自分への25周年のご褒美でもある。だから話題性とか意外性よりも、本当に大好きな人たちに囲まれて、ハッピーな一枚にしたいと思って。この25年の間に縁あって巡り合ってきた人たちを誘いました」。