映画「ソウルフル・ワールド」の挿入歌で一躍その名が広まったニューオーリンズのシンガー/ソングライター/ピアニスト、ジョン・バティステ。コンサバ寄りな米ルーツ音楽やジャズを披露してきた彼が、その持ち味に現代性を加えて一大ブラック・ポップ絵巻を織り上げた。1920年代と2020年代をジャズで踊って繋ぐ“I Need You”、塩辛声で南部ソウル風に歌う“Tell The Truth”、US3みたいなジャズ・ヒップホップ“Freedom”やネオ・ソウルな“Adulthood”など楽曲は多岐に渡るが決して雑多ではなく、全編において端正で品のある聴き心地が清々しい。古今の黒人音楽を網羅したエンタメ感と、音楽的教養の高さをもって歴史に真面目に挑んだ印象が両立している稀有な一枚だ。