マンチェスターを拠点として活動し、モダン・ラヴのコア・メンバーとして知られるアンディ・ストットの8作目。目を惹くジャケット・デザインは、モダン・ラヴのレーベルのカラーとも言えるモノクロを基調とし、初作から一貫したこの配色が彼の纏う陰鬱で美しい空気を見事に表現している。今作ではアリソン・スキッドモアのヴォーカルが歌ものとして機能し、いままでになくポップな印象を受けるものの、ダークな音響とエクスペリメンタルなダブ・テクノは健在。それらがギリギリで崩れず絶妙な感覚でバランスを保っているあたり、近年の集大成と言えるだろう。彼の作品に関しては、イヤホンやヘッドフォンでダイレクトに聴覚を刺激するのではなく、スピーカーで部屋の空気を刺激しながら聴くことをお勧めしたい。