インタビュー

ブルーノ・ペルナーダス(Bruno Pernadas)『Private Reasons』ポルトガルきっての鬼才が語る親密でコンテンポラリーな歌モノ作

©DIANA MENDES

〈ポルトガルのスフィアン・スティーヴンス〉、5年ぶりの新作をリリース!

 ジャズ・ギタリストでもありつつ幅広い音楽的好奇心――彼は80年代のJ-Popの大ファンでもある――のもと、なんとも眩いポップ・アルバム群を作っているポルトガルが誇る才人がブルーノ・ペルナーダスである。その5年ぶりのオリジナル作である『Private Reasons』の録音は、2020年の6~8月に行われた。

 「1度目のロックダウン解除の2週間後に始めた。大勢で同じ部屋にいたくないというメンバーもいて、その分は別に録音したんだ。とはいえ事前に検査を受けてみんな陰性で安心してレコーディング入りできたし、リラックスした雰囲気で進めることができたよ」

 心地よい誘惑に満ちたメロディアスな曲群はすべてペルナーダスが書いた。それを元に、彼は様々な奏者やシンガーらを自在に配置しているが、アルバムに大きなテーマはあったのだろうか。

 「インストゥルメンタル作品ではなく、曲そのものや、歌や、ソングライティング作法にフォーカスした作品にしたかった、というのがまずある。そして、テーマを挙げるとすれば、収録されたすべての曲には、そこに存在する〈プライヴェート・リーズンズ〉がある、ということかな。たとえば、“Family Vows”は家族についての曲だね。家族の一員として責任を持つこと、と言っても、形式張った意味ではなく、感情的/心理的に、家族の一員であることについての歌なんだ」

 曲によっては瀟洒な弦楽四重奏音や管音も贅沢に使われている。実は、映画音楽作りにおいても彼は売れっ子。ペルナーダスは昨年、『Patrick』(ソニー)という映画のサントラを出しているが、それはクラシックの素養溢れる弦音主体作品だった。

  「『Patrick』をはじめ、映画音楽や劇伴やシネマ・コンサート用の音楽を作る際には、クラシックの四重奏やオーケストラと仕事をしてきた。だから、今回、自分のレコードにもそういった要素を少し取り入れたいと思ったんだ」

 その一方、楽器や歌の音色は練り上げられ、新作はよりコンテンポラリーになったという感想も得る。英語主体ながら、彼が創作したオリジナル言語や韓国語で歌われる曲も入れられた『Private Reasons』は、よりインターナショナルな訴求力を増しているように思える。

 「聴き手の設定はしていない。ただ過去の作品以上に、このアルバムが今までにはなかった層や地域の人たちにも届いている、と感じ始めているよ」

 柔和で親しみやすいのに、吟味すると知識や技が効いていて、とても遠くで輝いているようなポップ・ミュージック。そんな本作に、〈蜃気楼のような音楽〉というキャッチをつけたくなっている。

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