Mikikiがオススメの新人アーティストを採り上げる連載〈Mikiki’s Young Bloods〉がスタート。編集部スタッフが、サブスクやCDショップで試聴して、あるいはライブハウスやクラブでパフォーマンスを観て、〈これはやばい!〉と興奮した新人ミュージシャンを紹介します。今回は田中亮太が、ダブをベースにさまざなま音楽をクロスオーヴァーさせる2人組、KENSINGTON AND HAUSをピックアップ。自己紹介、まずはこの曲から、編集部員の推しポイント、こんな音楽のファンにオススメ、という4項目でまとめました。
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自己紹介
「記憶が曖昧ですが、2020年3月あたりに結成したと思います。メンバーの2人は過去に別のプロジェクトを一緒にやっていたことがあり、このコロナ禍で外出の機会も減り、時間もあるしやってみようとラフな感じでスタートしました。トラック制作、ヴォーカル録音、デザインにいたるまで、マスタリング以外の作業はほぼ自分たちで行っています。
影響を受けている音楽は、UKのレゲエ/ダブや昔のソウル・ミュージックです。また、UKのレゲエ/ダブと密接に関係のあるパンクやニューウェイヴなどには音楽以外でも影響を受けていて、そこに自分達なりのオリジナリティーを+αできたらと思っています。下記のプレイリストは、自分たちに強く影響を与えた曲を中心に集めました。
現在は、某アーティストのリミックスを制作中です。こちらの制作が終わり次第、自分たちのリリースの制作をスタートしようと思ってます。すでに具体的なアイデアが頭のなかにあるので早く形にしたいです。曲が揃い次第、LPなどのリリースもできれば嬉しいなと思ってます。また、プロデュースやリミックスなども積極的に行いたいです」
まずはこの曲から
青柳拓次やKan Sanoとのコラボで知られるシンガー、Nao Kodama(児玉奈央)をフィーチャーした2021年のシングル。Naoさんの可憐な歌声が、切れ味のよいバック・ビートに重なり、聴き手に潮風を運びます。ナイトメアズ・オン・ワックスやLSKといったUK産のレゲエ・ソウルを彷彿とさせる、極上のステッパーズ・ナンバー。そのあとにリリースされた、スミス&マイティのロブ・スミスによるダブ・ミックスも気持ちよく飛ばせてくれます。
Mikiki編集部、田中亮太の推しポイント
KENSINGTON AND HAUSのことは、彼らがKONCOSの“Bongo Song”をリミックスしていたことで知りました。アフロ・ポスト・パンクだった楽曲を、ダビーなダウンテンポへと見事に衣装替えしていて、その手つきの鮮やかさに驚いたことを覚えています。それはまるでプライマル・スクリームの『Vanishing Point』をエイドリアン・シャーウッドがまるまるダブ・ミックスした『Echo Dek』(97年)のようで。
上の自己紹介で語ってくれているように、UKレゲエに強く影響を受けているそうなので、音の冷ややかな質感や、独自のスタイリッシュさは、彼らのそうした背景に由来したものなのかなと思います。今後、多くのアーティストがこの2人組にリミックスやプロダクションをお願いするのでは。2020年代のルード・ボーイが鳴らす音の残響がどこまで届くのか。とても期待しています。
こんな音楽のファンにオススメ
LITTLE TEMPO/SILENT POETS/TICA/マッシヴ・アタック(初期)
RELEASE INFORMATION
KENSINGTON AND HAUS 『Walk On By feat. Nao Kodama(Dubmix by Rob Smith/Smith & Mighty)』 KENSINGTON AND HAUS(2021)
リリース日:2021年6月9日
配信リンク:https://ssm.lnk.to/WOBDbRSSM
TRACKLIST
1. Walk On By feat. Nao Kodama(Dubmix by Rob Smith/Smith & Mighty)