Mikikiがオススメの新人アーティストを採り上げる連載〈Mikiki’s Young Bloods〉。編集部スタッフが、サブスクやCDショップで試聴して、あるいはライブハウスやクラブでパフォーマンスを観て、〈これはやばい!〉と興奮した新人ミュージシャンを紹介します。今回は鈴木英之介が、北海道・札幌のアンダーグラウンドシーンから生まれたバンド、CARTHIEFSCHOOLをピックアップ。バンドによる自己紹介、まずはこの曲から、編集部員・鈴木の推しポイント、こんな音楽のファンにオススメ、という4項目でまとめました。

★〈Mikiki’s Young Bloods〉記事一覧はこちら

 


自己紹介

「もともと別々のバンドで活動していた室崎知也(ボーカル/ギター)と高砂祐大(ドラムス)により発足後、ベーシストを公募し、津坂元熙が加入していまの形になった。これが2016〜2017年にかけてのこと。音楽性においては54-71、その他多数のポストパンクバンドから影響を受けており、苛烈な鍛錬で会得したテクニックと、日々の労働と困窮で培った感受性により生み出す楽曲は、リリース毎に精度を増してきていると自負している。

2021年2月にリリースのファーストフルアルバム『CARTHIEFSCHOOL』、同年9月にリリースのミニアルバム『kenjimiyazawa』に続き、現在早くもセカンドフルアルバムの制作に取り掛かっているのだが、これまでの歩みのスピードが恐ろしく速かったこともあってか、目標を見失っている。しかし、収録予定の楽曲達は膨大なエネルギーを孕み、人々に再生されるのを待ち望んでいる。なおセカンドフルアルバムのタイトルは実は決定しているが、これはまだ秘密である。家族や友人と予想して楽しんでみてはいかがだろうか」

 

まずはこの曲から
“兎角大宝”(2021年作『CARTHIEFSCHOOL』収録)

自分とCARTHIEFSCHOOLとの出会いの1曲。初めて聴いたとき〈なんて奇天烈でカッコいいんだ!〉と鳥肌が立ったのをよく覚えています。ザクザクと切り込んでくるようなギターとぶっといリズム隊が織り成す硬質なグルーヴ、念仏と〈がなり〉を行き来するようなボーカル、〈酩酊した浮浪者が信号を渡るまでの歩数を数えている親愛なる俺〉など捻じれた叙情性が炸裂する歌詞。たった4分足らずの中に、CARTHIEFSCHOOLというバンドの強烈な個性が凝縮されています。

 

鈴木英之介の推しポイント

ポストパンク直系のひんやりとしていてダークな質感の音像、緻密に計算されていながら人間的な息遣いと汗の匂いを感じさせる演奏、そして歌というよりも原初的な叫びに近いボーカル。それらが渾然一体となることで、CARTHIEFSCHOOLならではの世界が生まれています。

その個性にはブラック・ミディやスクイッドといったUKの新世代バンドと共通するところがありますが、一方でそうしたカテゴライズを頑として撥ねつけるかのような、強烈なアクの強さも彼らの表現からはひしひしと感じられます。また歌詞やアートワークを貫くユーモラスでどこか奇妙な美意識も魅力的で、それもまた彼らを孤高の存在たらしめている要素だと言えるでしょう。

野性と知性、激情性とクールさが同居する異形のバンドサウンドをぜひご堪能あれ!

 

こんな音楽のファンにオススメ

54-71/black midi/The Pop Group/じゃがたら/ザ・スターリン

 


RELEASE INFORMATION

CARTHIEFSCHOOL 『kenjimiyazawa』 Transduction(2021)

リリース日:2021年9月22日
品番:TDR-025-CD
価格:1,251円(税込)

配信リンク:https://carthiefschool.com/

TRACKLIST
1. kenjimiyazawa
2. kandera
3. wholeworld
4. baramos
5. yesterday
6. song for krygyzstan