デビュー・アルバムにして、UKラップ史に残るタイムレスな傑作『PSYCHODRAMA』で衝撃を与えたラッパーのセカンド・アルバム。端的に言えばとても素晴らしい作品だ。特に惹かれたのは幅広いテーマを取り上げた歌詞。貧困、移民、暴力、差別といった社会的問題を鋭い言葉で描写する表現力は神々しい。これらのテーマが個人的視点や難しくない言葉を通して描かれるため、歌詞が耳にすんなり入ってくるのもグッドだ。客演にウィズキッドやスノー・アレグラらが名を連ねるほか、ジェイムズ・ブレイクが参加した“Both Sides Of A Smile”を筆頭にサウンドも聴き応えがある。アレンジの多彩さには光るものがあり、様式にとらわれない曲展開もおもしろい。まぎれもなく本年度ベスト・アルバム最有力候補。